「リア充」「草食系」どっちが多い? 性行動調査で発覚した意外な事実

男子の「リア充」は34.3%?
林 雄亮 プロフィール

彼氏はいるが、性的関心が少ない女子グループ

では、女子はどうだろう。

図3 各グループの構成割合(2017年大学・高校女子)
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女子の1つ目のグループは交際経験や性交経験があり、同性・異性の友人も多い層で、構成割合は約19%である。これが「リア充」と言えるかもしれない。図では「活発・友人多い層」とした。

2つ目のグループは女子にのみに現れた特徴的な層で、性的関心や性に対する楽しいイメージは持たず、性交経験もほぼないが、同性・異性の友人や交際経験は豊富であり、約2割を占める(図では「無関心層」)。性的な関心はあまりないが、友人との関係や交際経験は豊富という女子が世の中には意外にいる。こうした示唆も、統計的手法を用いることのメリットだ。

3つ目のグループは、交際経験や性交経験があるのは1つ目のグループと同じだが、特に同性の友人が少ないという約31%を占める多数派である。図では「活発・友人少ない層」。

4つ目のグループは、交際経験や性交経験はないが、友人づきあいや性に対するイメージは中間的な層約3割を占めている(図では「未経験」層)。

もちろん今回の分析結果はひとつの解釈であり、異なる分析方法を用いて別の見方を示すこともできる。

しかし、少なくともこうして見ると、やはり男女ともに青少年層は一枚岩ではなく、「草食化」や「絶食化」をめぐる言説には登場しない層が青少年全体の多くを占めているという実態が見えてくる。このようなプロセスを通じて青少年の性の実態を多角的に調べ、その結果を社会に還元していくというのが私たちのねらいである。

 

「社会調査」の有効性

最後に、今回の「社会調査」という方法について少し解説しておこう。社会科学の領域では、ある集団(ここでは若年層)のある側面(ここでは性に関することがら)についての実態を把握するために「社会調査」という方法をとる。学術的なアンケート調査と呼ぶ方がわかりやすいかもしれない。

社会調査のプロセスは、調査対象となる集団の定義、そこから調査対象者を選び出す方法、調査の手順、調査票の設計、統計データの作成、統計分析による結果の導出に至るまで、精緻に計画し遂行していくため、時間的、金銭的、労力的なコストが相当かかる。

今回用いた「青少年の性行動全国調査」は、1974年以来ほぼ6年おきに実施されている日本でも歴史ある社会調査のひとつだ。1974年の第1回調査は総理府(当時)の委託を受けたものであり、「青少年の性の発達と行動の実態を全国規模で調査し、生育および家庭環境、社会と文化的環境などとの関連を明らかにすること」が目的とされた。

それから40年以上が経過しているが、調査時点間の比較を可能にするために多くの質問項目が同じ形式でたずねられており、その継続性や代表性という点で貴重な調査研究として広く認識されている。主要な結果としては、調査時点におけるデートやキスや性交の経験率を算出し、それを時系列的に比較することで青少年層の性の変化を捉えてきた。

私たちの研究グループでは、2017年度に「青少年の性行動全国調査」の第8回調査を実施した。全国に散らばる約100校の中学校、高校、大学の計13000名を対象に実施し、すでに基礎的な集計結果は公表したが、現在さらなる分析が進められており、その結果は今夏、書籍として刊行される予定である。

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