背景にあるのは、ティーンエイジャーの電子タバコ吸引が爆発的に急増したことだ。
そのきっかけとなった中心的な製品が、「JUUL」などUSBメモリに似た形の電子タバコ製品である。

連邦法ではそうした製品の18歳以下への販売を禁じているが、政府の調査によれば、高校生の5人に1人が昨年「電子タバコを吸引した」と回答したという。
この調査では、ティーンエイジャーの電子タバコ使用が2017年から2018年の期間で78%増加したことを示している。
電子タバコの種類によっても違いあり
非営利組織「子どもの喫煙をなくすキャンペーン」(Campaign for Tobacco-Free Kids) のマシュー・マイヤーズ氏は、今回の英国の研究で使われているのが、ユーザーがフレーバーやニコチン濃度を自分好みに変えられる、いわゆる「タンク方式」の電子タバコである点を指摘している。
米国ではこの方式よりも、JUULのような充填済みのニコチンパック(ポッド)を使った方式が主流である。電子タバコのメリットはすべて、個々の製品やその使用方法によって違うのだとマイヤーズ氏は語る。
「電子タバコがすべて同じだと考えるのは根本的な間違いです。そのうえ、FDAの規制がない現状では、消費者は、使用中の製品に効果があるのかどうかを確かめようがありません」(マイヤーズ氏)
マイヤーズ氏の団体を含めて、いくつかの反喫煙団体がFDAに対して、電子タバコ製品をただちに審査するよう求めて訴訟を起こしている。

ワシントン州在住の音響・映像技術者のイアン・アーミテージ氏は、電子タバコが禁煙の手段になるというのは疑わしいと考えている。
喫煙歴15年のアーミテージ氏は、数年前に電子タバコを吸引してみたが、筋肉のひきつりや震えのようなニコチン離脱症状が出て、吸引をやめた経験があるという。
「丸1カ月試してみたけれど、私には効果がなかった。その後もタバコが吸いたくなったよ」(アーミテージ氏)
アーミテージ氏は、ニコチンパッチも試してみたが、皮膚にかゆみが出たという。
(ワシントン発AP 翻訳/熊谷玲美)