「電子タバコに禁煙効果あり」研究で大論争勃発、愛煙家はどうする?

米国では若者が電子タバコ愛好家に…
マシュー・ペローネ

参加者はすべて、政府の禁煙プログラムを通じて集められており、もともと禁煙の意欲が高かったと考えられる。彼らは4週間の禁煙カウンセリングも受けている。

また今回の研究チームは、電子タバコと、ファイザーの「Chantix」(日本では「チャンピックス」の商品名で発売)との対照試験を実施していない。

Chantixは、従来のニコチンによる治療法より禁煙成功率が高いことが証明されている処方薬だ。

ChantixPhoto by Getty Images

さらに今回の研究は英国政府の助成金を得ているが、英国政府は電子タバコを、国営の医療機関を通じた禁煙治療の有望なツールとして推奨してきた。論文の著者のなかには、禁煙製品メーカーのコンサルタントをつとめ、報酬を受け取ってきた人もいる。

米国の保健関係機関はこれまで、電子タバコ製品の推奨には消極的な姿勢を取っている。その理由の1つは、長期的な影響が不明なためだ。

禁煙が専門の心理学者であるボストン大学のブレンダ・ボレッリ教授は、「電子タバコの安全性プロファイルについて、研究を重ねることが必要だ。1つの研究だけに基づいて治療方法を変えるべきではない」と述べている。

結局は電子タバコに依存するのでは?

米国心臓協会は2014年の声明で、「禁煙目的での電子タバコの使用は、カウンセリングや承認済み製品を使用した後の、最後の手段としてのみ推奨される」としている。米国がん協会も2018年に同様の立場を表明している。

今回の研究に添えられた、ボレッリ教授が共著者の1人である論説記事では、「電子タバコを禁煙目的で使うのは、喫煙者がFDA認可製品で禁煙に挑戦し、失敗した場合に限る」ように勧めている。

さらに、医師は電子タバコの使用中止に向けた明確なスケジュールを立てるべきだとしている。

ボレッリ教授によれば、この研究の対象となった電子タバコユーザーの80%が、1年後にもまだ電子タバコを使用していたという。別のグループでは、ニコチンガムなどのニコチン代替品を使い続けている者は9%だった。

電子タバコメーカーのなかで、自社製品にFDAから禁煙補助製品としての認可を受けることを計画している企業はない。そうした認可を受けるには、数年の時間と多額の費用を注ぎ込むような、大規模な研究が必要になる。

FDAはこれまで電子タバコに対して、おおむね不干渉主義のアプローチを取ってきた。市場に出回っている電子タバコのいずれについても、科学的な審査を実施しておらず、重要な規制を2022年まで先送りしている。

スコット・ゴッドリーブFDA長官は、 「成人の喫煙者に対して、より安全な選択肢を提供する可能性のある新興業界を、過剰に規制したくない」と発言している。

こうした規制の遅れは強い批判にさらされている。

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