海賊版サイト問題解決には「政府の介入排除」の仕組みが必要だ

独立した委員会の設置は可能か

海賊版サイト対策の強化へ向けて、政府・文化庁は先週水曜日(2月13日)、文化審議会の著作権分科会の法制・基本問題小委員会で、今国会に提出する著作権法改正案の基本的な方向性に「お墨付き」を得た。

その柱は、インターネットの利用者を海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」を違法とすること、現在は音楽や映像に限定している「違法海賊版ダウンロード」の対象を漫画やゲームソフトを含むすべての著作物に拡大すること、など6項目。2つの違法行為に刑事罰を科す方針も盛り込んだ。

一方で、政府の「知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議」が昨年4月、「法整備が行われるまでの臨時かつ緊急の措置」として、問題とみなされていた海賊版サイトを対象に、民間事業者に自主的な実施を求めたサイトブロッキングの法制化が見送られ、海賊版サイト対策として腰が引けた部分もある。

どうすれば、より抜本的な海賊版サイト対策に繋がるサイトブロッキングを実現できるのか。そのカギのひとつは、ブロッキングを担う機関として、政府から独立した行政委員会を設置することではないだろうか。

実は、そうした組織は戦後すぐの日本に存在したのだが、誕生からわずか2年2カ月で時の政府が廃止した歴史がある。今回は、実効性の高い海賊版対策のためにできることを考えてみたい。

 

盛り込まれた6項目の中身

まず、海賊版サイト被害の実態だ。漫画などの違法ダウンロードに関して、前述の法制・基本問題小委員会の報告書はCODA(コンテンツ海外流通促進機構)のヒアリングから得た情報として、①2017年10月31日に摘発された海賊版サイト「はるか夢の址」の1年間の被害額が731億円にのぼると推計される、②主要な4つの海賊版サイトへの過去6か月間のアクセス総数は2億件を超え、1つのサイトのコミックダウンロード総数が3000万件を超えるとの報告がある、と記している。

被害は漫画以外にも、雑誌、写真集、文芸書、専門書といった書籍のほか、ビジネスソフトやゲームといったプログラムにも広がっており、著作権者や出版社に看過できない規模の被害が発生しているというのだ。

そこで、対応策として、政府・文化庁は今国会に著作権法改正案を提出する方針だが、前述の報告書で、小委員会審議やパブリックコメントの結果を踏まえて改正案の「方向性が定まった」と述べている。盛り込まれた6項目の方向性を列挙すると、

①リーチサイト等を通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応、
②ダウンロード違法化の対象範囲の見直し、
③アクセスコントロール等に関する保護の強化、
④著作権等侵害訴訟における証拠収集手続の強化、
⑤著作物等の利用許諾に係る権利の対抗制度の導入、
⑥ 行政手続に係る権利制限規定の見直し(地理的表示法・種苗法関係)

となっている。

これらにより、冒頭で紹介したように、インターネットの利用者を海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」を違法とすることや、現在は音楽や映像に限定している「違法海賊版ダウンロード」の対象を漫画やゲームソフトを含むすべての著作物に拡大することが可能になる。

加えて、ビジネスソフトなどの利用時にユーザー認証などを行うことでシステムのタダ乗りを締め出す「アクセスコントロールの保護」の強化や、被害者が裁判所を通じて著作権の侵害を巡る訴訟の証拠収集を円滑にできるようにする仕組みの導入も図られるという。これらについては、海賊版対策がある程度前進するものとして、一定の評価を与えてよいだろう。

とはいえ、許認可権を持つ政府が電気通信事業法で強い影響力のある民間の電気通信事業者などに「法整備が行われるまでの臨時かつ緊急の措置」として自主的な実施を求めていた海賊版サイト向けのサイトブロッキングについては、継続検討とし、今国会での法制化を見送ったことは、海賊版サイト対策が当初より腰が引けた生温いものになったとの批判を免れない。

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