経済政策を振り返れば、民主党時代は「悪夢」と言われて仕方なし

次の政権交代のためにも重要な議論だ

雇用、所得が一番重要

2月10日の自民党大会で「悪夢のような民主党政権」と発言した安倍首相に対し、岡田克也元副総理が撤回を求めるなど、激しい論争になっている。岡田氏にとっては、自分たちの時代を「悪夢」と言われて気のいいものではないことは理解できる。

一方で、国民にとって民主党政権の3年間は「悪夢」だったのかどうかは、様々な角度から検証されるべきテーマだ。今回はこのことについて論じたい。

そもそもこの表現は、安倍首相だけが使っているものではない。1月31日には、日本維新の会の馬場伸幸幹事長が衆議院代表質問を行い、その冒頭で「あの悪夢の3年間といわれた民主党政権」と発言している。一国の首相と野党の幹事長では影響力が違うという声もあろうが、首相だけの認識ではないということは、確認しておくべきだろう。

さて、安倍首相が「悪夢のような民主党政権」と批判したのは、経済政策についてである。筆者の見解としては、民主党政権時代は、安全保障分野では「普天間基地は最低でも県外」と掲げて内外の政策に大混乱を招いたこと、「尖閣諸島での中国漁船と日本の巡視船衝突事件」での中国人船長釈放、福島原発事故での「官邸による人災」など、「悪夢」と呼ぶにふさわしい出来事の連続だった、と認識している。

【PHOTO】iStock

しかし、ここはあくまで首相が指した民主党時代の経済政策、特に雇用に絞って議論しよう。

先に雇用以外について述べるなら、民主党政権が行った、震災復興増税の導入はまさに「悪夢」であったと言える。100年に一度の大災害が起きた場合、復興費用を捻出するために100年国債を発行するのが経済学の教えである。

これを増税で賄おうとしたことで、震災で大ショックを受けた上に、増税という人災で日本経済がダブルショックを受けることになったのだ。これらについては、これまでの本コラムで厳しく批判してきたので、そちらを参照してほしい。

 

さて、筆者は、経済政策を評価する際、①雇用、②所得を基準に評価を下している。これは一貫して変わっていない。これも本コラムで繰り返して述べてきたが、まず金融緩和(これに財政出動も加えて)によって有効需要を創出し、雇用を作るのがマクロ経済政策の手順である。

この観点から見れば、民主党時代の経済政策は「悪夢」だったと言えるだろう。働きたい人に仕事がある状況を作るのが政治の大きな責任であり、民主党政権と安倍政権の差は、何より「雇用の創出ができたかどうか」である。

この話は、2015年11月30日付け本コラム「民主党と安倍政権、「労働者の味方」は安倍政権のほうだった!~雇用と最低賃金を比べてみれば一目瞭然」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46635)等でも触れており、その中に、「この両政権の差は、金融政策である。金融緩和を行わなかった民主党政権と金融緩和を行った安倍政権の差である。」と書いている。

金融政策がどうして雇用に効くかというと、一般物価の変動を通じて実質金利に作用し、モノへの設備投資とともに、ヒトへの雇用の増大へ影響するからだ。他の政策では、個別物価に影響を与えても一般物価には影響を与えられない。これは金融政策がもつ、他の政策にない特徴である。

民主党は、この点の理解がまったくできていなかった。就業者数を増やすべき時に、賃金を引き上げようとしたが、これはまったくの経済政策オンチだったといわざるを得ない。

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