紀州のドンファン「遺言書」に浮上した、新たなミステリー

まさか、そんなことが…

私の頭の中で引っかかっていたこと

「紀州のドンファン」こと、和歌山県田辺市在住の資産家・野崎幸助氏が怪死を遂げてから9カ月が経過。いまだ真相は藪の中だが、筆者は生前の野崎氏と深い親交があったことから、彼の死後もその周辺の取材を続けてきた。

そんな中、野崎氏が生前遺したとされる「遺言」について、不可解な点が浮き上がってきた。遺産の相続にも大きな影響を与えるこの件について、筆者の得た情報をもとに、ある「推論」を展開したい。

 

まずは経緯を説明しよう。

野崎氏が不可解な死を遂げたのは昨年5月24日のこと。資産家の突然の死を受け、ワイドショーを中心に「殺人事件ではないのか」「殺人事件なら犯人はどこにいるのか」と連日報道され注目を集めたが、加えて30億円ともいわれる野崎氏の遺産が誰に分配されるのか、も世間の関心を呼んだ。

この「事件」にひとつの変化が起こったのは昨年9月のこと。野崎氏の会社「アプリコ」の元幹部のX氏が、代理人弁護士を介して、田辺市の家庭裁判所に野崎氏が書いたという「遺言書」を提出したのだ。

「いごん」と書かれた、特徴のあるこの遺言書。<死後、個人の全財産を田辺市に寄付する>という驚愕の内容が記されていたことから、週刊誌をはじめ、多くのメディアがこの「いごん」について報じた。

野崎氏が書いたとされる「いごん」

X氏のもとに、野崎氏からこの遺言書が届いたのは、6年前の2013年2月のことだという。野崎氏の死後2週間ほどが経ってから、X氏が「2013年2月に、親父から遺言書が送られてきていたことを思い出した」(X氏は野崎社長のことを「親父」と呼んでいた)と言い出し、自宅を調べたところ「いごん」と野崎氏の「印鑑証明書」が入っていた封筒を発見。代理人を通じて田辺の家庭裁判所に届け出たという。

しかし、生前野崎氏と親しかった私からすれば、カネにうるさかった彼が田辺市に遺産を寄付するということも驚きだったし、それ以外にも不可解な点がいくつもあった。

・なぜ亡くなる5年も前に遺言書を作成し、それをX氏に送っていたのか
・なぜ生前かわいがっていた愛犬のイブちゃんに対する記述がないのか(ドンファンは「遺産はイブちゃんに遺す」と繰り返し話していた)
・ドンファンを知る人にこの「いごん」を見せると、みな「筆跡は似ているけれど、野崎さんの書くものは、文字の大きさがばらばらなうえ、下にいくほど必ず文字が左に流れていく。違和感がある」と答えること

そのことが私の頭の中でひっかかっていた。