これから東京に激増する「ひとり暮らし高齢者」のためにすべきこと

『未来の年表』がマンガ化されました
河合 雅司 プロフィール

もの忘れがひどい

家事をこなしてくれるハイテク家電は、高齢者数が増えることで利用者が増えると、販売価格が下がるだろう。こうしたハイテク家電が標準装備され、コンピューターでコントロールされる物件が安く提供されるようになれば、高齢者の自立も促進される。

例えば、高齢化した高齢者の悩みの一つに、もの忘れがある。

病院に行こうと思ったら診察券が行方不明だったり、財布をどこにしまったかを忘れてしまったりして、家中を探し回ったという経験をしたことのある人もいるだろう。

いざ玄関を閉めようしたら肝心の鍵が見当たらず、出掛けようにも出掛けられなかったなどという〝悲劇〟も時々耳にする。

これなどは、無くしては困る大切なものに電子チップを貼り付け、コンピューターを使って〝捜索〟できるような仕掛けの家が出来れば解決しそうなものだ。

もちろん、そこまで大がかりな仕掛けをつくったのでは、物件自体の値段も跳ね上がるかもしれない。結果として、そうした〝ハイテクハウス〟が高嶺の花になったのでは元も子もないが、せめて自宅玄関の鍵ぐらい「顔認証」にすることはできないだろうか

ひとり暮らしの高齢者が自立して生活できる時間が少しでも増えれば、そのぶん、離れて住む家族などがサポートする労力も軽減できる。

『マンガでわかる 未来の年表』第1話より

高齢者の住まい方改革から

勤労世代の減少が深刻化する中で、社会を機能させていくためにも、若い世代がなるべく仕事に専念できる状況をつくっていくことは極めて重要だ。

そう考えれば、ひとり暮らしの高齢者宅への顔認証の鍵は税金を使ってでも普及させたらよい。マンションだけとは言わず、戸建ての自宅も対象として、高齢者がひとり暮らしとなった時点で取り付けるのだ。

「玄関の鍵は顔認証」という家が一気に普及すれば、高齢者向けのハイテクハウスもどんどん性能アップしていくことだろう。高齢化した高齢者の暮らし方自体が劇的に変えるきっかけになるかもしれない。

もちろん本人の同意は必要だが、顔認証システムを使って外出チェックをすれば、高齢者の「見守りサービス」のツールとして活用することもできよう。

少子化に伴い自治体職員が十分に確保できなくなることまでが懸念される時代にあっては、行政の労力やコストの削減の手段ともなり得る。

日本の高齢社会はこれから本格化する。政府は、世界に先駆けた「超スマート社会」の実現に向けて「Society 5.0」構想を打ち出しているが、そんな大風呂敷を広げる前にまずは、高齢者の住まい方改革から始めてはどうだろうか。