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トランプ政権が本当に恐れる「宇宙強国・中国」誕生の現実味

だから米中貿易戦争は終わらない

中国を「隔離」せよ!

特異の知見と経験を持つ中国専門家の遠藤誉氏の新著『「中国製造2025」の衝撃―習近平はいま何を目論んでいるのか』(PHP)には目から鱗の記述が少なくなく、米中関係が現在の貿易戦争からさらにコリジョンコース(最終衝突局面)に突き進すむのかどうかを占う上で刮目すべき一冊である。

同氏は「まえがき」に次のように書いている。

〈 トランプ(米大統領)に感謝すべきだろう。彼が米中貿易戦争を仕掛けてくれたことにより、「中国製造2025」が持つ重要性に焦点を当ててくれたのだし、中国の戦略をあばいてくれたのだから。日本人が事実とかけ離れた(共産党指導部の)権力闘争物語を面白がっている内に、中国はハイテク産業のコア技術で日本を追い抜き、宇宙を支配してしまうかもしれない 〉

同書には、この「ハイテクと宇宙による世界制覇」の野望の、驚くべき実態を詳細なデータと内部・公開資料を基に明らかにし、その具体的な事例が数多く挙げられている。

 

まずは、習近平国家主席が2015年5月に打ち出した国家戦略「中国製造(Made in China)2025」である。

遠藤氏は「2025年までにハイテク製品のキーパーツ(コアとなる構成部品、主として半導体)の70%をメイド・イン・チャイナにして自給自足すると宣言した。同時に有人宇宙飛行や月面探査プロジェクトなどを推進し、完成に近づけることも盛り込まれている」と定義する。

2018年11月の珠海エアショーで展示された中国航天局による宇宙ステーションのモジュールと宇宙服(Photo by GettyImages)2018年11月の珠海エアショーで展示された中国航天局による宇宙ステーションのモジュールと宇宙服(Photo by GettyImages)

「ハイテク・宇宙戦略による中国の世界制覇」と聞かされても得心いかないと言われそうだが、筆者は昨年10月にワシントンで会ったトランプ政権周りの人々が一致して使っていたワーディングを思い出さざるを得ない。

それは、「segregate(隔離)」である。

米国防総省総合政策評価局(ONA)のジェームズ・ベーカー局長(パパ・ブッシュ政権のジェームズ・ベーカー国務長官と同姓同名だが別人)をヘッドに財務省情報分析局、商務省産業安全保障局、エネルギー省エネルギー情報局など経済官庁の局長クラスで構成される対中戦略策定チームの中では、東西冷戦下のソ連contain(封じ込め)ではなく、今や中国をsegregateすべきで一致しているというのだ。

こうした危機感は、いったい何処から来るのだろうか。遠藤氏の著書からその解を求めたい。

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