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胆管がん「余命6ヵ月宣告」から生還した患者とその主治医の全告白

トップドクターはこうして命を救った
木野 活明 プロフィール

6000件以上の手術実績を持つトップドクター

友人の医師に相談すると、すぐにがん研有明病院を紹介された。がん研の消化器センター・肝胆膵外科の齋浦明夫部長(当時)を尋ねたのは2013年4月末の事だった。

齋浦医師は今年(2019年)1月に16年間務めたがん研から順天堂大学に移り、現在、同大学大学院医学研究科・肝胆膵外科学教授として順天堂大学病院でメスを握る。がん研時代の16年間には肝胆膵領域がんで、体に負担の少ない低侵襲手術から高度な手技を要求される難治がんまで、6000件以上の手術実績を持つ消化器外科では日本を代表するトップドクターである。

セカンドオピニオンでがん研に来た桑原さんの症状を齋浦医師がこう説明する。

「桑原さんの胆管の腫瘍は、肝臓の中央にある肝門部から胆管が十二指腸につながる十二指腸乳頭部まで広がっていました。肝門部は胆管、肝動脈、門脈、神経の出入り口になっている部分で、肝臓に近い上部胆管と十二指腸に近い下部胆管まで広がった上下部胆管がん(肝門部胆管がん)と診断しました。とくに神経に添った浸潤が激しかったのですが、遠隔転移は見られないため最終的に手術はできる状態だと判断しました」

 

齋浦医師が続ける。

「胆管とすい臓の頭の部分、さらに十二指腸と肝臓の3分の2を切除し、縫合まで同時に行うため、高度の手技を必要とする消化器外科の中では最もリスクが高い超高難度の手術でした。しかし、医者からするとやりがいのある手術でもありました」

〔photo〕iStock

生還率わずか10%の難治がん

国立がん研究センターによれば2018年の胆管がんによる死亡者は年間1万8600人(予測)と肝臓がんに次ぐ6番目の数だ。胆管がんは近年、胆のうがんも含めた胆道がんと呼ばれ、5年生存率がワーストスリーの膵臓、胆管、肝臓のひとつで、生還率はわずか10%という難治がんの代表といえる。

胆管がんは腫瘍のできる場所によりそれぞれ細かく病名は違ってくる。

胆管は先にも述べたが、肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ管で、 肝臓の中を通る胆管を肝内胆管、外を通る胆管を肝外胆管と呼び、それは膵臓を貫いて十二指腸の乳頭部につながる。

部位により肝臓の中にできる肝内胆管がんと、肝臓の外にできる肝外胆管がんに分けられ、また、肝外胆管がんは肝臓に近い上部胆管に発生する肝門部胆管がんと、十二指腸に近い下部胆管に発生する下部胆管がん(遠位側胆管がん)に分けられる。

胆管がんの症状を齋浦医師が説明する。

「胆管がんは胆管の上皮から発生しますが、早期の胆管がんは自覚症状の出ないことが珍しくありません。しかし、ある程度進行してくると胆汁が胆管から逆流して黄疸の症状が出て発見されることが多くなる。

ただ、黄疸は腫瘍のできる場所により違いがあります。肝門部胆管がん、下部胆管がんは黄疸が出ることが多く、肝臓の中を通る肝内胆管がんは黄疸が出にくく、腫瘍が大きくなってから見つかるケースが多くなります。ラグビー日本代表選手の平尾誠二さん、柔道の斎藤仁さん、女優の川島なお美さんもこの肝内胆管がんで亡くなられています」