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「Bリーグ」はどうやって若者と女性のファンを増やしたのか

独自のデジタルマーケティングの秘密
葦原 一正 プロフィール
(2) 潜在・コアファンへのアプローチツール

700万人いる潜在顧客に対してのアプローチにも有効である。いきなり試合会場にどうぞ、という従来のスポーツ興行の手法ではなく、「まずはつながりませんか?」とハードルを低く設定することができるのも、SNSならでは、である。

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そしてスピーディかつダイナミックな動き、そして得点シーンが多いバスケはSNSと相性が良い。会場の雰囲気を感じてもらい、「行ってみたい」と思わせるような投稿を心掛けている。

同時に、コアファンへの投稿も意識している。前述したように、来場したライトファンを対象に「なぜ来場したのか?」という調査を実施したところ、全員が「誘われたから」と回答した。

これを受け、潜在層の観戦意向を高めるだけでなく、コアファンにどのような情報を提供すると、周囲の人を誘いたくなるのか? という目線での投稿も心掛けている。ファインプレー動画など「シェアしたくなる」投稿を意識しているのだ。

(3) チケット販売媒体としての利用

前職でデジタルマーケティングに従事していたスタッフが、SNS経由での販売率が高かったということを聞き、調査したところ、B.LEAGUE FINALでは、チケット購入数のおよそ30%がSNS経由であることがわかった。

webやアプリの直販サイトに続き、SNSが2番目に高く、主要な販売経路のひとつになっている。

(4) リアルとの融合

SNSだけで完結するのではなく、記者会見やイベントなどの、リアルイベントではSNSを使ってライブ配信を行っている。また、LINEでは毎週クラブ持ち回りで、選手のトークを生配信した。

 

またリーグ主管試合でも積極的に活用し、なかでも「B.LEAGUE ALLSTAR GAME 2017」ではコンセプトの1つに「SNS連動」を加えた。

戦う2チームのチーム名から、出場選手もSNSを使ってのユーザー投票で選び、当日のダンクコンテストのファイナリストやMVPもSNS投票で選ぶという、アジアで初めてのハッシュタグバトルも実施し、ユーザーとのインタラクティブなコミュニケーションの上に成り立つオールスターにした。

こういった一連の取り組みはリーグだけではなく、クラブ・選手も巻き込むことで、波及効果はさらに高まる。

リーグとしてSNSを強化していく意思をクラブ側に伝えているのもそうだが、リーグ全体の収益を各クラブへ配分するときの、リーグへの貢献度合をみた経営実績の項目の中にもSNSの影響力といった項目を入れている。

世界におけるリーグの配分金は基本的に勝敗で決めるところが大半だが、B.LEAGUEではSNSのほか入場者数やローカル放送での露出度などといった項目が多分に入っている。これによりクラブも積極的にSNSを活用している。

プロ野球やJリーグでもSNSアカウントをもっていないチームもあるなか、リーグが開幕する2カ月前に、リーグの全クラブがFacebookとTwitterの公式アカウントを開設。Twitter社とFacebook社に協力を仰ぎながら、そのアカウントを公式認証化した。

加えて、各クラブ所属選手5人以上へのTwitterアカウント開設を推進したことで、選手をより身近に感じていただきやすい環境を作った。

そしてクラブ、選手にはソーシャルリスクを共有したうえで、炎上を恐れるよりも、積極的に発信していき、自分たちの価値を高めていこうという攻めのスタンスでSNSを活用しようと、私は言っている。その後は、定期的に成功事例の共有会をリーグ主催で行っている。

リーグ、クラブ、選手が一体となってB.LEAGUEを盛り上げようといろいろと試みをしているなかで、SNSがあり、その結果が出てきていることでクラブ側も、いろんな試みをする。今は良いサイクルが回っているのかな、と思っている。