2019.02.18

大相撲界を揺るがした力士のストライキ「春秋園事件」をご存じか

分裂騒動にまで発展
田中 圭太郎 プロフィール

ところが、順調に進んでいるかに見えた大日本相撲連盟は、内紛によってあっけなく崩れてしまう。興行を始めてまもなく後援者との関係に亀裂が入ると、さらに12月には中心人物の一人である天竜が、大阪に日本関西角力協会を設立しようとしたことに、反対意見が続出した。

力士たちは、定期的に興行をすることの難しさを痛感した。20人以上の力士が相撲協会に戻って、翌年33年の1月場所から復帰。本来の番付とは別に、復帰した力士を別席とした番付が新たに発行された。これを「二枚番付」と呼んだ。

 

双葉山の快進撃で相撲協会が復興

その後の相撲協会は、36年1月場所から39年1月場所まで続いた双葉山の69連勝によって人気が戻り、かつてないほどの活況を呈した。

関西角力協会も存続していたが、双葉山の快進撃の陰で衰退の一途を辿り、37年12月に解散に追い込まれた。春秋園事件の首謀者だった天竜は相撲界から去った。

春秋園事件以降は、力士と協会が対立するような大きな事件は起こっていない。もちろん、相撲人気が双葉山によって確立され、力士の生活が向上したことが一番大きいだろう。

今年1月の給料増額も、お客さんあってのことである。初場所で引退した稀勢の里が、19年振りに日本「出身」横綱に昇進する活躍を見せたことで、相撲人気を押し上げ、長らく上がらなかった給料のアップを実現させたと言える。

では、春秋園事件を起こした力士たちは、給料のことだけしか考えていなかったのだろうか。筆者はそうは思わない。彼らは独立した団体を起こして、新しい競技方法も取り入れている。彼らは彼らなりに、相撲道とは何かを追求して、国民の支持を得ようと自ら行動したとも受け止められるのではないだろうか。

力士によるストライキは、明治の新橋倶楽部事件、大正の三河島事件、そして昭和の春秋園事件が有名で、これらは3大紛争事件と呼ばれている。現在発売中の「スポーツ報知 大相撲ジャーナル」2月号・初場所決算号では、大相撲に起きた出来事を、6つの場所ごとに振り返る大型企画「大相撲全記録」の隔月連載をスタート。3大紛争事件をはじめ、1月場所をめぐる事件や名勝負、珍事まで、さまざまなトピックスを網羅している。

2月号・初場所決算号では、大相撲界で起きた出来事を、6つの場所ごとに振り返る大型企画「大相撲全記録」の隔月連載をスタート。3大紛争事件をはじめ、1月場所をめぐる事件や名勝負、珍事まで、さまざまなトピックスを網羅している

関連記事