JALとANAの「熾烈な競争」が、私たちに恩恵をもたらす理由

未来の空旅はどう変わるか・その1
戸崎 肇 プロフィール

ファーストクラスが30万円台のハワイ路線

観光路線として、今後注目されるのはハワイ線である。ANAが今年5月から、ハワイ線にA380を投入するからだ。

現状において、ハワイ路線のシェアはJAL34%、ANA14%程度でJALが優位であるが、ANAが巻き返しを図っての大きなチャレンジをA380で行おうとしている。

A380は総2階建ての超大型機である。もともとはスカイマークが発注したものだったが、経営破綻した際にスカイマークの再建支援者となったANAがこれを引き継いだのだ。

新規路線を次々と開設するANA(photo by Gettyimages)

これによってハワイ線の総供給座席数は大幅に増加し、需要動向次第では、相当に安くハワイ旅行が楽しめるようになりそうだ。

また、A380は、可能な供給座席の数が多い点ばかりに注目が集まりがちだが、本来は、単価の高く、航空会社間で囲い込みの主なターゲットとなっているビジネスクラス以上の顧客をひきつけるための、より広くてより快適な空間を提供できることにこそ、航空機の競争力がある。

つまり、A380を使って、どのような高付加価値サービスが実現されるのかが楽しみだ。航空機内の仕様はそれぞれの航空会社が工夫を凝らすことができるからである。

今回はハワイ線なので、旅行者にハイクラスの魅力をアピールし、その後、他の路線でも同様のクラスを利用してもらうように誘導していくことになろう。

すでに就航当初のキャンペーン価格として、一部ファーストクラスが30万円台で販売されているのは、その表れと見ることができよう。

もちろん、JALもこれに負けてはいまい。ハワイアン航空とのコードシェアで販売力を強化するとともに、前述のようにコナ線を復活させ、ハワイ内でのディスティネーションを多様化させようとしている。

両社の競争が激化することで、利用者はますます多くの選択肢を得ることができ、旅の魅力は増している。

ただ、年末年始やゴールデンウィークなどのハイシーズンは、ホテルが今以上に予約できなくなり、料金もさらに高騰する可能性がある。

このように、両社は乗り入れ国・地点をできるだけ多く獲得し、ネットワークの魅力を高めるかに努めている。利用者としては、これからどんどん新たな路線が開拓され、ビジネスでも観光でも様々な可能性が広がっていくことが期待できる。

ただし、そのためにはパイロットやCA、整備士といった生産財が供給の拡大に対応できるかどうかが鍵となる。また、羽田や成田空港の供給力、さらには相手国の受け入れ体制の問題もある。

こうした問題については、連載2回目以降に徐々に明らかにしていく。