保育士の給料はなぜ安いのか…「ブラック保育園」が生まれる根本原因

田村智子・参議院議員インタビュー
小林 美希 プロフィール

国は失敗を認めるべき

小林:保育士の配置基準が実質、規制緩和された「企業主導型保育」が2016年度から始まりました。内閣府が所管し、市区町村は設置についての権限がありません。

2018年11月、東京の世田谷区で保育士の給与未払いなどが原因として一斉退職し、企業主導型保育所が突然休園して波紋を広げました。

田村:あまりの惨状です。保育への事業者参入を促すために、まともな運営ができるのか最低限のチェックもしていないことが、世田谷の休園で露呈しました。もう国は失敗を認めるべきです。

児童福祉法にあるように、そもそも保育所は自治体が作るものです。それなのに、作る時から自治体が関与しない保育施設を本流にしてしまった。

監査する能力があるかも疑問です。問題が発生しているなかで、もう新たな施設を作ることはやめたほうがいい。企業主導型保育所で働く保育士の賃金もどうなっているのか。

 

小林:民間の給与について国は口を挟めないというスタンスのようです。

田村:認可保育所並の運営費が助成されているのですから、給与について問題だと言えないようではいけない。人件費がチェックできないのでは、認可保育所の委託費の弾力運用どころの話ではないです。

企業主導型保育という制度そのものをストップして、事業所内保育所か認可保育所への移行を図ったほうがいいのではないでしょうか。

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幼児教育の無償化が実施されるが…

小林:幼児教育の無償化が10月から実施される予定ですが、影響は?

田村:パート労働で得られる収入よりも保育料が高くなると諦めている人は一定数いるはず。しかし、保育料が無料で預けられるとなれば、需要は増えると見ています。

今、保育に関する集会が行われると、当事者の父母だけでなく、祖父母も参加しています。それは、祖父母に預かってもらわなければ働けない人がいるからです。

無償化そのものはすべきですが、今回しようとしている無償化とは、消費増税を受け入れてもらう口実のために打ち上げられた施策です。だから全てが後手、後手に回っています。

そして、無償化するかわりに、給食の食材費が実費徴収されるという大きな矛盾が起きようとしています。本来なら、給食は大切な保育の一環なのだから、公定価格に組み込むことが必要なのに逆行します。

保育所は、虐待や貧困の問題について一番早く手を打つことができる場でもあります。保育士が専門性を発揮し、「子どもを守るのは私たちだ」と誇れる職業にしないといけない。

“まともな”保育政策が実施されるよう、今後も国会で質問を重ねていきたいと思います。