保育士の給料はなぜ安いのか…「ブラック保育園」が生まれる根本原因

田村智子・参議院議員インタビュー
小林 美希 プロフィール

ブラック保育園をなくすために

小林:ブラック保育園をなくすには?

田村:委託費の弾力運用に縛りをかけるべきです。人件費比率が一定の割合を下回るのではいけない。

初年度などは人件費比率が低くみえてしまうこともあるので、そうした正当な理由がない限り、低すぎる数値の出ている保育所については調査をして行政が是正勧告するようなシステムが必要です。

年間の委託費の4分の1も自由に使えるというのは行き過ぎています。株式会社の参入を促すために、“うまみ”を作ったのが委託費の弾力運用です。

人件費が削られている実態があれば行政指導で是正させるべきです。そうでなければ、保育士の処遇改善に結びつかなくなってしまいます。

「賃金だけでなく、現場の人員体制を厚くすることも重要です」

小林:国をあげて処遇改善加算が行われていますが、効果はあるでしょうか。

田村:副主任になると月4万円の賃金アップというのは、専門性と経験を正しく評価しているとはいえないのではないでしょうか。

全体の底上げが必要です。保育という仕事の専門性と経験。この2つを正しく評価するなら、そもそも現在の公定価格が低すぎます。

保育士の処遇は全産業の平均に達しないといけない。子どもの命と育ちを預かる仕事だという専門性を考えれば、全産業平均以上でもいいはずです。

年齢が低いうちこそ、豊かな教育がその後の人生の土壌になっていくでしょう。ヨーロッパのように、教員と同等の賃金水準を目指したいです。

公定価格にも問題があります。保育所は1日に11間開所していますが、公定価格で想定されているのは保育の時間の人件費です。

保育士には事務作業も多く、保育の準備や後片付けの時間もある。研修や会議もあります。早朝や延長保育、土曜保育もある。週40時間労働ではカバーしきれない保育以外の業務量があるのに、これでは休憩はもちろん有給休暇だって取れない。

若い人がベテランと学び合えるよりよい保育を目指していけるようコミュニケーションとれる時間を公定価格に組み込む工夫も必要です。

例えば保育現場で適切でない言動があった時、それをお互いに指摘しやすい環境にしなければ質の維持は難しくなります。

保育以外の業務も含めて必要な保育士数を割り出すことができるはずなのに、依然としてそうした議論にならない。賃金だけでなく、現場の人員体制を厚くすることも重要です。保育士の配置基準は低すぎます。

 

小林:厚生労働省は、消費税以外の財源さえ確保されれば、配置基準を引き上げる予定でいます。

具体的には、1歳児は現在の子ども6人に対して保育士1人(「6対1」)を「5対1」へ、4~5歳児の「30対1」を「25対1」に引き上げたいとしていて、それにかかる費用を約1300億円と見積もっています。

田村:国難とまで言っている少子化を解決するためなら、1300億円が出せないというとではないはずです。

1歳児の「5対1」は、現場ではだいぶ前から実現しています。それでも足りない。もしも国として「5対1」を実現できたとしても、胸を張れないレベルかと思います。