保育士の給料はなぜ安いのか…「ブラック保育園」が生まれる根本原因

田村智子・参議院議員インタビュー
小林 美希 プロフィール

最も問題とすべきことは?

小林:株式会社の参入が認められたのは2000年でした。それ以前の1999年10月1日現在の保育所は、「公営」が1万2849ヵ所、「私営」が9426ヵ所でした。

2017年を見ると、公営の「市区町村」が8711ヵ所、私営のうち「社会福祉法人」が1万4493ヵ所、「営利企業」が1686ヵ所になって、確かに公立が減り私立が増えて営利企業(株式会社)の増え幅が大きいですね。

2018年11月27日の参議院の内閣委員会で、2015年から委託費を株の配当に回してもよくなったことに触れていました。

 

田村:以前は配当をしている保育所は、公私間格差を是正するための「民間等施設給与改善費」の支給対象外となっていました。2015年度から子ども子育て新制度が始まると、その規定がなくなってしまいました。

つまり、給与を改善する費用をもらっていながら配当に回してもいいという規制緩和が行われたのです。委託費の弾力運用で株への配当まで認めてしまったということです。

2000年以降の規制緩和で保育が劣化していきました。保育は社会福祉として行われるべきです。保護者の雇用の安定、そして、子どもの福祉という両面で考えても、委託費を株の配当に回すことを許してはいけません。最も問題とすべき点です。

保育施設に支払われているはずの委託費が、介護など違う事業への流用を認めていることも問題です。これにより、本部への“上納金”が膨らんでいきます。

多く保育所を展開している場合、本部経費に回される金額が不当に大きいケースもあるのではないでしょうか。その“上納金”がどのように使われているのか。決算書を見ても分からなくなってしまいます。

委託費は、個々の保育所の運営に対して支払われるものです。その保育所の子どもと保育士など職員のための費用が、そうでないところに使われていくのは問題です。

委託費の弾力運用という制度があるというなら、委託費がどう使われているのかをしっかり見ていかないといけません。多様な設置主体をと国が旗振りをしているため、株式会社で人件費が低い資料が出ると国にとって都合が悪いかもしれません。

しかし、2018年3月に改正された子ども子育て支援法の付帯決議でも、「処遇改善を講じるに当たっては、保育所等における人件費の運用実態等について十分な調査、検証を行うこと」と盛り込まれたように、国はきちんと人件費比率や給与実態について調査すべきです。

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小林:2015年度の財務を調べると、東京23区だけで年間で280億円もの委託費が「人件費、事業費、管理費」以外に流れていました。積み立てや同一法人が展開する他の施設への流用が多いです。

田村:確かに施設の修繕などのための積み立ては必要です。けれど、積み立てが適正な額なのか、内部留保の中身をチェックしなければなりません。そして、積み立ては協議さえすれば新規の施設整備に回すことができてしまいます。

自治体の財源が限られるなかでは、事業者が委託費を流用して保育所を作ってくれたほうが助かる側面もあり、委託費流用のチェックが甘くなってしまいます。

新しく受け皿整備をするというならそれは、国や自治体がきちんと公費を充てるべきです。修繕などの費用も公費が充てられなければいけない。それをせずにいるから、問題が起こるのです。