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韓国で235万人動員…日本人アナキストを演じた韓国女優が思うこと

日韓関係がよくない今こそ観てほしい

肩書は「アナキスト」

「あらすじだけ見たら『反日映画』と思う人がいるかもしれません。この映画はよりよい未来を目指して手を取り合った、日本人と韓国人の話です。いま韓国と日本は関係がよくないと言われてますが、そんなときだからこそ観てほしい映画です」

映画『金子文子と朴烈』の主演を務めた、チェ・ヒソに「いまの日本でこの映画を上映することに、不安はないだろうか」と質問すると、迷わずこう答えた。

同作は1923年関東大震災の混乱期に、大逆罪を問われた金子文子と朴烈のストーリーを描いた。

日本語の流暢な彼女の口から飛び出た「反日」という言葉にドキっとしたが、2日間で20社以上受けたという日本メディアからのインタビューのなかで、おそらく彼女の耳に入ってきた言葉なのだろう。

彼女が「反日ではない」と断言するのには、映画に描かれた金子文子が送った一生と「アナキスト」という言葉を、女優として、一人間としてどう目に映ったのかが背景にある。

チェ・ヒソ:1987年1月7日生まれ。幼少期を大阪で、中高時代を米国で過ごす。09年「重量ガールズ キングコングを持ち上げろ!」でデビュー。17年『金子文子と朴烈』(原題『朴烈』)にて主演。同年、韓国内の映画祭で賞を総なめした。

金子文子、そして朴烈とは誰か。

2人の"肩書"は「アナキスト」だ。

アナキズムは無政府主義と訳されるが、政府や国家だけでなくあらゆる権威を否定する思想だ。「アナキスト」とはアナキズム思想を持つ者という意味で、職業でも資格者でもない。金子文子を一言で説明するならば、やはり「アナキストだった」のだろう。

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現代に通じる金子のフェミニズム

「まだ私は若いけれども、これが代表作になると思う」と言う、チェ・ヒソの言葉には金子文子への強い思い入れを感じられた。彼女は金子文子のアナキズムをどう解釈したのだろうか。

「映画の製作が始まる前に監督から薦められて、金子文子の自叙伝『誰が私をこうさせたのか』を読んだんです。

金子文子がどうしてアナキストとしての道を選んだのか。彼女の思想は、貧しい中で大人たちから愛されることがなく育った幼いころの経験から生まれたものなのです。

人間は平等であるべきという考えから、権力に抵抗する彼女のアナキズムが生まれたわけです。その点に気が付いてからは、彼女を理解することに難しさを感じなくなりました」

 

出生届も出されなかった金子文子は、不仲の両親の元に育ったが、9歳の時に忠清南道にあった親戚の家に養子に出されている。

そこでは祖母や叔母から執拗ないじめに遭い、川に飛び込んで死んでしまおうとしたことが自叙伝に書かれている。

17歳で家を飛び出し、単身で上京。社会主義活動家らとともに行動を共にする中で朴烈と出会い、同居を始めてまもなく逮捕され、23歳の若さで獄中死した。