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実践投資派エコノミストが教えるインデックス投資の長期必勝法

単純で効果抜群、恐怖指数を活用せよ

投資家のリスク回避度を示す「恐怖指数」

日経平均株価指数や米国のS&P500などに連動した投資信託やETFで長期分散投資(インデックス投資)を行う個人投資家が日本でも増えてきたようだ。

そこで株価のボラティリティ指数を利用することで、インデックス投資の中長期のリターンを劇的に引き上げる簡単な手法をご紹介しよう。

「ボラティリティ(volatility)」とは「変動性」のことであり、米国ではS&P500株価指数のオプション取引から計算されたVIX指数が有名だ。

オプション取引については馴染みのない人もいるだろうが、限定されたコスト(オプション料)を払って買えば、契約期日までの相場次第で限定されない収益を得ることができる金融派生取引である。現物の金融資産のリスクヘッジ(リスク回避)にも、投機にも利用できる。

 

一方、オプションの売手は限定された収益を得る見返りに相場次第で限定のない損失可能性(リスク)にさらされる。つまり相場変動のリスクは買手から売手に移転し、その対価としてのオプション料は「保険料」であると言える。

オプション料を計算する際の重要な変数が相場の予想変動性だ。オプションの売手にとっては激しい相場変動が予想されるほどリスク(損失可能性)が高まるので、オプション料は高くなる。その予想変動性の高低を示す変数が「ボラティリティ」である。

もちろん市場取引であるから売手が一方的にボラティリティを決定することはできない。オプション料は市場でのオプション取引の需給(売りと買い)で決まり、実際に売買されるオプション取引から逆算されたボラティリティを「インプライド・ボラティリティ」と呼んでいる。

米国では個別株のオプション取引のみならず株価指数S&P500を対象にしたオプション取引も多く、それから算出されたボラティリティを指数化したものが、冒頭に述べたVIX指数である。

日本でも2010年から日経平均ボラティリティ指数(以下、「日経平均VI」と記す)が毎営業日、リアルタイムで算出、公表されている(1989年6月まで遡及してデータが公開)。

このボラティリティ指数(以下「ボラ指数」と記す)には、単に目先の予想変動性を示す以上の興味深い特性がある。

株価指数の変化とボラ指数は逆に動く強い傾向がある。株価が上がる時にボラ指数は下がり、株価が下がる時にはボラ指数は上がる。すなわち負の相関関係があるのだ。

なぜだろうか。市場で株価を下げるネガティブなショックが起こったとしよう。株価の下げが大きいほど投資家層は評価損を被り、リスク回避的行動に走る。リスク回避の第1は株式の保有残高を減らす、つまり株式売却であり、それがまた株価を下げるという下向きのフィードバックが働く。

第2のリスク回避手段はオプションのプット(売る権利)を買うことだ。詳しい説明は省略するが、プットとコール(買う権利)のオプション料の間には裁定も働くので、プットのみならずコールも含めたオプション料全体が高騰する。

その結果、そこから計算されるボラティリティも高騰する。ボラ指数が投資家心理の不安・恐怖度を表すものとして「恐怖指数」と呼ばれる所以である。

逆に株価が上昇トレンドを辿る局面では投資家は総じて楽観的になり、リスク回避度が低下する(リスク許容度が上がる)。その結果、オプションの購入需要は減少し、オプション料は低下、ボラ指数も低下する。

この点で目立った反落もなしに株価が上昇基調を継続した2017年の米国株は楽観気運が充満した典型的な局面だった。投資家はオプションを買うどころかVIX指数の売りポジションを造成してオプション料を稼ぐ金融商品がブームとなり、VIX指数は歴史的な底値圏である10前後前後まで低下した。

2018年1月末から2月初にかけて起こったVIX指数の急騰と株価の急落は、大きく積み上がったオプション売り持高が損切りに追い込まれる反動局面だった。