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「1万円札廃止」がキャッシュレス化推進の切り札だ

本音はアングラマネー撲滅

キャッシュレス化そのものも重要だが

日本の経済政策の1つに「キャッシュレス化」がある。現金の使用比率を下げ、電子化させようとするものである。

その切り札となりえるものとして検討されているのが「1万円札の廃止」である。具体的な目標(KPI)としては「未来投資戦略2017」において、10年後までにキャシュレス決済比率を倍の4割にするということである。

10年後の2027年までの間に、国家的なイベントである東京オリンピック(2020年)と大阪万博(2025年)が開催される。当然、訪日外国人の利便性も念頭に置かれている。

そもそも、キャッシュレス化をなぜ進めるのであろうか。それにはいくつかの理由がある。もちろん、利便性が向上される。それは来日外国人のためだけではなく、日本に暮らす人々も含め、事務負担の軽減になる。

現金の取扱いは大変に手間が掛かる管理である。しかも、口座に入金されていなくて、現金で持っている場合、運用することはできない。この現金管理は銀行だけではなく、日本の現金を扱うすべての主体の問題である。

最近では、コンビニエンス・ストアが進歩しており、レジの残高をそのまま確認できるのである。このような事務負担の軽減は、少子高齢化で人手不足の対応にもなり、日本経済全体のコストが下がり、成長が加速されることになる。

 

マネーロンダリング潰しこそ

キャシュレス化を推進する理由は他にもある。

現金というものは記名性がない。そのため、脱税に用いられることがある。とくに、今年10月には消費増税が実施されるだけに、脱税は許されないのである。記名性がないということから、犯罪に使われることがある。いうなればマネーロンダリング(マネロン・資金洗浄)である。

この件は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering:FATF、1989年設立の国際機関)が主体となって国際協調で監視されているが、とくに今年10月29日に来日が決定したオンサイト審査(第4次対日審査)が重要だ。

金融庁が発表している銀行が対応すべき、今年度の「金融行政方針」は明らかにこのFATFを強く意識したものになっている。

足元、紙幣と硬貨の発行量は約100兆円で、そのうち現金として保有されているいわゆる「タンス預金」は約40兆円もあるといわれている。これだけ現金が動いていないということは、現金はカラダにおける血液の様なもので、血の巡りが悪くなる。つまり、金融政策の効き目が落ちるということである。

さらに、現金というものは、何年も洗っていない手と同じように細菌が多数付着しており、インフルエンザ感染拡大など、公衆衛生上、課題があるとも考えられる。