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積水ハウスの地面師事件、警察内部で「内通者説」が囁かれ始めたワケ

入手した調査報告書に書かれていたこと

地面師事件の「内通者」

積水ハウスが東京都内のマンション用地取引をめぐって、約55億円をだまし取られた「地面師グループ事件」。主犯格とされるカミンスカス・操容疑者が年初に逮捕されたことで、メディアでは事件が収束に向かうかのような報道が出始めている。

しかし、捜査を続ける警察内部にはそうした楽観的な空気はまったく流れていない。「この事件にはまだいくつもの謎が残されている」と語るのは、ある警察幹部だ。

「今回の取引の経緯を詳細に調べていけばいくほど、はなから従来の不動産取引のセオリーを逸脱している箇所がいくつも散見される。積水ハウスのような不動産のプロが、あまりにもやすやすと地面師に騙されているのもまた不自然だ。今回の地面師事件には『内通者』がいるのではないかとさえ囁かれ始めている」

今回、筆者はそんな事件の核心に迫る資料を入手した。それは、今回の事件の詳細について社外役員らで構成される調査対策委員会が記した『調査報告書』である。

 

この報告書は昨年1月に積水ハウスの取締役会に提出された後、会社側が「概要」を一部発表したのみで、いまだ全文公開されていない。「経営陣にとって都合の悪いことが書かれているため全文公開に踏み切れないのではないか」(積水ハウス関係者)とも言われる、事件の核心を握る内部資料である。

そんな報告書が取締役会に提出されてから約1年――。地面師グループの主犯格が次々と逮捕される中、筆者はこの調査報告書の全文を入手したうえ、関係者への取材などを加えて、徹底的に分析してみた。すると、そこからは積水ハウスと地面師たちの異様なやり取りが浮かび上がってきたのである。

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そもそも調査報告書を作成した「調査対策委員会」は、積水ハウスの篠原祥哲・社外監査役を委員長とし、社外取締役・社外監査役の4人と、補助員の公認会計士の計5人で構成された。

調査報告書は冒頭からこの事件に巻き込まれた積水ハウスを厳しく指弾している。

〈本件は、不動産を専業とする一部上場企業が、(中略)史上最大の地面師詐欺被害にあったということである〉〈通常起こりえないことであり、絶対にあってはならないことである〉
(※以下、〈〉内は調査報告書からの抜粋)

そんな調査報告書をさらに読み進めると、今回の土地取引をめぐって積水ハウスの幹部たちがいかに杜撰かつ通常では考えられないような行動をしていたかが次々に指摘されていくのだ。