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朝鮮労働党幹部が激白「我々が米朝会談でアメリカに要求すること」

中国・韓国・日本との関係はどうなるか

2回目の米朝首脳会談を前に

アメリカ東部時間の2月8日晩、ドナルド・トランプ大統領は立て続けに、ツイッターで二つのメッセージを打った。

〈 わが代表団は先ほど、とても実りあるミーティングを終えて、北朝鮮を離れた。そこで2回目となる金正恩(キム・ジョンイル)委員長との会談の日時を確定させた。それは2月27日と28日に、ベトナムのハノイで行われる。私は金委員長と会って、平和の作業を進めるのを楽しみにしている 〉

〈 北朝鮮は、金正恩のリーダーシップのもとで、偉大な経済パワーとなるだろう。彼はいくつか(世界を)驚かせることになるだろうが、私を驚かせはしない。なぜなら私は彼の事を理解しているからだ。そして彼がどれほど能力あるかを十分理解している。北朝鮮は、これまでとはまったく異なるロケットになる、経済体になる! 〉

その3日前の2月5日、トランプ大統領は、年に一度の一般教書演説で、「2月27日と28日にベトナムで、金正恩委員長との2回目の米朝首脳会談を行う」と述べていた。

米朝両首脳は、昨年6月にシンガポールで初会談を行ったが、その後は北朝鮮の非核化を巡って、米朝間で齟齬が生まれていると伝えられてきた。それが年が明けて、ようやく2度目の対面を発表できたのである。

また、当初は、2017年11月にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれたベトナム中部の海岸都市ダナンが有力視されていたが、北朝鮮側が自国の大使館がある都市での開催を望み、ハノイでの開催となったという。

北朝鮮は、2週間後に迫った米朝首脳会談に、どのような思惑で臨むのか。そして、米朝関係が進展していけば、日朝間に横たわる拉致問題にも、解決の糸口が見いだせるのか。

私は、これまで使ってきた北朝鮮とのルートを通じて、緊急で朝鮮労働党幹部の話を入手した。以下は、その一問一答である。

 

「トランプ大統領の前向きな態度は立派だ」

――ようやく2回目の米朝首脳会談の発表にこぎつけたが、まずはここまでの米朝交渉の経緯を教えてほしい。

朝鮮労働党幹部: 「アメリカとの交渉責任者である金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長が訪米し(1月17日~19日)、マイク・ポンぺオ国務長官との間で、調整作業を進めた。金聖恵(キム・ソンヘ)統一戦線部策略室長と崔剛一(チェ・ガンイル)外務省北米局副局長が、金副委員長の補佐役を務めた。同時期にスウェーデンでも、崔善姫(チェ・ソンヒ)外務省次官とスティーブ・ビーガン米国務省北朝鮮担当特別代表が、実務者協議を行った。

さらに、金正恩委員長とトランプ大統領は、互いに親書を交わしており、トランプ大統領からの親書には、非常に前向きなことが書かれていた。こうしたことを積み重ね、2回目の首脳会談を開催する環境が整ったということだ」

――金正恩委員長は、月末に迫ったトランプ大統領との会談を前に、何と言っているのか?

朝鮮労働党幹部: 「金委員長は1月23日、金英哲副委員長から、訪米の報告を受けた。その際、トランプ大統領からの親書も手渡された。その内容を見て、こう仰った。

『トランプ大統領は、わが国との関係改善を、とてもまじめに考えている。その態度は立派だ。私は、トランプ大統領の前向きな態度を、一貫して信じているからこそ、2回目の朝米首脳会談を決めたのだ。今回の首脳会談が意味するのは、朝米は共通の目標に向けて、一歩一歩前進しているということだ』」

――なぜ今回の会場を、ベトナムに決めたのか?

朝鮮労働党幹部: 「それは、主に以下の4つの理由による。

第一に、気候が温暖であることだ。金委員長は、冬に寒いところでシビアな外交交渉を行うことは好まれない。当初は、ハワイを第一候補に考えていたほどだ。

第二に、朝米双方のしっかりした大使館があることだ。わが国とベトナムとは、長年にわたる社会主義の『同志』だ。ベトナムの朝鮮大使館は、東南アジアではインドネシアと並ぶ重要拠点となっている。

第三に、今回は中国政府の専用機は借りたくなかったからだ。昨年6月の会談では、中国政府の専用機を借り受けてシンガポールに行ったが、これは主体性を重視するわが国にはふさわしくないし、機内での機密保持も保てない。そこで今回は、わが国の政府専用機で向かえる近場にしたかった。

第四に、金委員長が国内で進めておられる経済改革の視察を行える場所にしたかった。ベトナムはわが国と同様、前世紀にアメリカと大きな戦争を戦ったが、その後和解し、いまは急速な経済成長を実現している。同じ社会主義国として、わが国が手本にすることは多いというわけだ」