「統計不正」参考人招致での情けない追及にこの国の野党の限界を見た

不勉強にもほどがある…
髙橋 洋一 プロフィール

不勉強にもほどがある

同じく8日、厚労省で統計担当の責任者だった大西康之元政策統括官(現大臣官房付)が衆院予算委員会に参考人として出席した。統計部門の局長級責任者だったが、更迭されていた。

同氏の経歴は、東大法学部卒という典型的な「ド文系」である。一般の人からみれば「優秀」だろうが、筆者からみれば、統計の訓練を受けていない「ド素人」だ。専門的な質問には答えられず、野党はボコボコにする政治ショーになるかと思っていた。

ところが、いざ質疑が始まると、野党はまったく準備不足で、質問が続かない。野党は政府よりさらに素人丸出しだったことが明らかになったのだ。立憲民主党の逢坂誠二氏は、「大西さんだけが処分されるのは理不尽じゃないか」と、情けない質問をして失笑を買っていた。

野党からすると、根本厚労大臣にも細かな質問をぶつけて、立ち往生させる「絵」を狙っていたのかしれないが、それも不発。まったく野党の不勉強にもほどがある。

 

最後に、マクロ経済評価の際、実質賃金だけを取り上げるのは、ミスリーディングになることを改めて強調したい。特に、民主党政権の時のように、雇用が増えていない段階で、実質賃金(=名目所得/(物価・雇用))が増えるというのは、分母の物価が下落、雇用が縮小によってもたらされるわけで、これは、デフレのまま失業を放置しておき、既得権を持つ有職者だけが所得を得ていることを意味するのだ。実質賃金だけを見ていると全体を見誤るということだ。

民主党政権と安倍政権での、雇用と所得の差異を表す図をみれば、その差は歴然としている。

雇用の増加を伴う実質賃金の上昇は、雇用の回復にともない失業が極小化し、名目賃金が上昇した上で、本格的な成長が達成されてから起こる。20年以上もデフレだったので、そう簡単な話ではないのだ。最後に、そのような状況下で消費増税なんてすれば、さらに状況が悪化する「論外の一手」であることを付け加えておきたい。