「統計不正」参考人招致での情けない追及にこの国の野党の限界を見た

不勉強にもほどがある…
髙橋 洋一 プロフィール

筆者の試算を公開しよう

去る2月8日、厚労省が毎月勤労統計の12月分、2018年分の速報値を公表した。その際、物価変動を考慮した実質賃金指数も公表している。それによれば、2018年の実質賃金指数は前年を0.2%上回っている。

ただし、野党は、2018年1月からのサンプルの入れ替えによる影響をなくすために、参考値として公表されていた共通事業所での継続標本による実質賃金指数も求めていたが、政府は公表しなかった。

 

政府が公表しなかったのは事実だ。そして、翌日以降このことが大きく報道されている。厚労省の毎月勤労統計では、再集計後の実質賃金指数、従来公表していた実質賃金指数の他に、継続標本による名目賃金数値も合わせて公表されている。

正直にいえば、総務省から消費者物価指数が公表されており、賃金の実質化に利用する、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)も容易にわかるので、エクセルを使えば、小一時間で、継続標本ベースの実質賃金指数を作るのは簡単だ。

筆者にとって、政府が公表しなかったのは「形式的には参考値なので公表する義務がない」ということだろうと理解できるのだが、一方で、政府が野党の能力の足下をみているのではないかと邪推している。

折角なので、筆者による試算を公開しておく。

野党の言うように、2018年についてみると、継続標本ベースによる実質賃金は、再集計ベースの実質賃金より伸び率が低くマイナスだったのかもしれない。しかし、2017年には逆に継続標本ベースによる伸び率はプラスであった可能性が高い。

ならしてみると、再集計ベースと継続標本ベースでは、細かな数字の差はあるものの、おおよその傾向には大きな差異があるわけではない。まったく、野党はくだらないところを問題にしているものだとあきれてしまう。