# 世界経済

世界経済を「最悪期」から脱出させた二つの要因

不安要素はまだまだあるが…

昨秋以降、一時、米金利の急ピッチな上昇や株価の大幅な下落から、景気の先行きに対する懸念が急速に高まった。ところが、最近、金融市場では世界経済全体が安定を維持しているとの見方を持つ市場参加者が増えている。

米国の経済指標をみると、経済の基礎的な条件(ファンダメンタルズ)はそれなりに良好な状況を維持している。また、新興国の金融市場も安定している。

投資家のマインドの好転支えている要因は、米国の金融政策と中国の経済政策だろう。米国のFRBは忍耐強く金融政策を運営する方針を示した。これは、FRBが「当面は金利を上げづらい」との認識を示したことと言い換えられる。

一方、中国では政府がインフラ投資や減税を発動し景気刺激に注力している。こうした状況を考えると、短期的に世界の景況感は上向く可能性がある。

 

急速に高まった景気先行き懸念

2018年11月から12月にかけて、世界経済の先行きに関する不安は急速に高まった。主な原因は、IT分野での成長鈍化懸念だ。世界的なスマートフォン販売台数の減少はその一つだ。中国では、その影響が顕著に表れた。従来から固定資産投資と個人消費が減少してきた上に、IT分野の生産活動低迷が加わり、中国経済の減速が鮮明化した。

米国では在庫調整が進んだ。12月、ISM製造業景況感指数を構成する新規受注指数は前月の61ポイント台から51ポイント台まで10ポイントも急激に低下した。近年、ここまで大幅に受注が減少したことはない。2014年1月には大寒波の影響から新規受注指数が11ポイント下落したが、これは気象要因による一時的なものだった。

しかし、今回は違う。米国の企業は、IT分野の成長懸念の高まりから在庫を圧縮して、生産の調整を進めたと考えられる。それが、ISM製造業景況感指数の悪化につながった。そのマグニチュードは、市場参加者の想定を超えた。中国の需要落ち込みから業績の下方修正を発表するわが国企業が相次いだことも、この動きと一致する。

この結果、年末にかけて世界経済の先行き懸念が急速に高まった。10月初旬まで高値圏で推移してきた米国株式市場では利益確定の売り注文が増え、売るから下がる、下がるから売るという負の連鎖が進んだ。12月には株安から投資家のリスク許容度が低下し、企業の資金繰りにも影響が及んだ。同月、米国の低格付け社債市場では新規発行が行えなかった。

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