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社員ひとり一人に最大限の環境を…「がんになっても、あなたの居場所はここだ」

伊藤忠商事 “がんとの両立支援”はこうして生まれた

がんは治療法も気持ちもひとり一人違う

この施策の柱は「予防」「治療」「共生」の3つだ。
 
まずは「予防」。社員をがんからできる限り守ること、早期発見すること。最先端機関である国立がん研究センター(以下、「国がん」)と提携し、40代以上の社員は定期的に国がんでがん発見に特化した専門医の「がん特別検診」を受ける。それによって、早期発見率向上を目指している。
 
次に「治療」。陽性反応が出た場合に国がんで精密検査を手配。がん発見時は国がん専門医と即時連携され最先端治療体制に入る。
また、国がんでは検診・検査・治療の統計データを研究にも活かし、将来のがん治療の発展にも寄与するものとなる。健康保険が適用されず全額個人負担となるがん先進医療費も、会社が包括的に保険付保し全額補助する。費用の心配をせずに治療に専念できることは、社員の不安を軽減するだろう。

”体調を崩したらすぐに杉山先生、保健師、看護師のいる健康管理室のところへ相談する”という空気が社内にあることも、施策構築の際の重要なポイントだった。「闘病中の社員から『ずっと伊藤忠の現役社員でいつづけたい』という声を受けたり、仕事のやりがいというのは闘病においても大きな支えになることを感じていました。病状は個別に全く異なる中で、仕事との両立のために何かできることはないかと、常に考えていました」(杉山医師)

そして「共生」。これが本プロジェクトの一番の要になる。
 
病気の治療と仕事を両立させるためには、柔軟な勤務、休暇制度の整備が必要だ。
勤務時間の短縮や曜日選択制、フレックス、在宅勤務。長期傷病のための特別休暇や、欠勤・休職制度は以前から存在していたが、ここに新たに「がんとの両立支援休暇」が新設されることになった。入院を伴う治療や定期的な通院に活用してもらえるよう、対象者には精勤休暇とは別に付与される特別休暇である。
 
ひと口に「がん」といっても、病状や治療法、本人の状況や気持ちもそれぞれ違う。ひとりひとりに合った支援体制を作っていくことが重要だ。
 
社員ががんを発症した場合は、まず所属長か健康管理室が最初に相談を受ける。病気の情報をどこまで開示・共有するかは本人の意思を確認し、その上で、所属長、産業医、所属部署の人事担当兼両立支援コーディネーター、キャリアカウンセリング担当者などがチームとなって面談。治療と仕事の両立について相談しながら、支援体制を整備し、個々の社員のオリジナルの両立支援プランを作っていく。
 
病気だからと言って「仕事をしなくていい」ではなく、まずは「治療と仕事を両立させる」というのが基本スタンスだ。体力的なことや勤務時間の面などで最大限の「配慮」はするが、「遠慮」はしない。できる範囲で会社に貢献することが大切だという。

勿論、病状によっては治療に専念せざるを得ないケースもある。だが、戻ってくる場所があることが本人の支えにもなる。だからこそ、復帰する際には個別の状況を見ながらプランを策定することが重要になる。育児や介護などと同じように、個別の事情を抱えながらも頑張っている社員に対し、会社や職場の同僚がしっかりとサポートし仕事ができる体制を整え、どんな状況下でもやりがいを持ってパフォーマンスを発揮してもらうことが必要なのだ。

2018年からは、通常業務の評価と同じ方法で、病気と仕事との両立状況も評価されることとなった。
 
目標には、病状や検査数値の改善といったことではなく、いかに「がんの治療と仕事の両立」を実現するかということを設定。目標の達成に応じ、業績として評価した上で賞与にも反映される。病気を抱える社員には、業務目標に臨むのと同じスピリットで闘病・両立に取り組んで欲しいという思い、そして何より罹患する社員の居場所を堅固なものにするためだ。また、上司にとってはこの目標を支援することも業務の一つとなり、職場に自然な協力体制を作ることもねらいだ。

一方で、不幸にして在職中に社員が亡くなってしまったとしても、残された子女には大学院修了までの教育費を私立水準で補助。子女や配偶者への就労支援を行うなど、家族へのサポートも手厚い。これも社員が安心して活躍し続けるためのサポートの一環である。

「施策構築にあたっては前例の無い部分も多かったため、厚生労働省の「両立支援のためのガイドライン」や「がん対策推進基本計画」等を読み込んで参考にし、産業医の杉山先生からも助言を受けながら、既存の制度の整備と新しい仕組みの導入を行いました」と語る三澤さん。スピードも大切。施策提案から4カ月弱で施行に至った。「また共生の部分では、本人の意思と主治医・産業医の判断、業務やキャリアの観点でも両立の仕方は一人一人異なるため、個別のプランが必要。そこが一番慎重に進めたところです」