〔PHOTO〕gettyimages

電気代EU第1位…!ドイツの「エネルギー転換」こんなに矛盾だらけ

それでもまだ上がるようです

ガス火力の微妙な立場

ドイツ南部のバイエルン州(州都はミュンヘン)のイルシングという場所に、ガス火力発電所がある。ドイツの電力大手E.onの子会社、Uniper社の発電所だ。Uniperは、再エネ以外の発電部門を担っている。

イルシングでは、4、5号機が最新鋭。2010年に完成した5号機は、定格出力84.6万kw、熱効率が59.7%。4号機は2011年に完成。定格出力56.1万kwで、熱効率は60.4%。こちらは、Uniperの他、N-ERGIE、Mainova、ENTEGAの3社も出資している。

ガス火力は、立ち上がりが早い。変動が大きい太陽光や風力電気を補うには、理想的な電源といえる。しかも石炭・褐炭火力に比べると、CO2の排出がずっと少ない。イルシング4、5号機は、両方ともコンバインドサイクル発電といって、ガスを燃やして発電をした時に出る蒸気で、もう一度発電をする、世界で一番効率の良いハイテク火力の一つだ。

Irsching Power Station〔PHOTO〕wikipedia

ところが、この世界に誇るmade in Germanyの新鋭火力が、2013年以後、待機させられたまま、あまり動いていない。イルシング5号機は、2010年は4758時間、2011年は4702時間稼働していたが、2013年にはたったの680時間しか動かなかった。もちろん、これでは儲からない。

株式会社がコスト割れの商売を続けられるはずはなく、E.on社(Uniperの前身)は2012年より新鋭機の廃止を申請していた。ところが、国の系統(ネットワーク)庁が廃止を認めず、待機させられている。

なぜ、こんなことになっているのか?

 

ドイツの法律では、再エネは発電した電気の全量が買い取られ、優先的に市場に入れられることになっている。需要があってもなくても買い取ってもらえるのだから、日が照って風が吹くと、電気は市場で供給過剰となる。

しかし、その市場はというと自由市場なので、供給過剰になった電気の値段は自由経済の法則通り暴落する。再エネ発電者は、固定価格で買い取ってもらっているので、暴落しても痛くも痒くもないが、他の電源の発電者が、その市場で再エネと価格で競うことは難しい。

そもそも競争の条件がフェアではない。とりわけガスは石炭・褐炭よりも原価がずっと高いので、出番はなかなか回ってこない。

しかし、周知のように、ドイツでは2022年には原発はすべて止まる予定だし、今年1月末に決まったところによると、石炭・褐炭火力も2038年で廃止にするつもりだ。つまり、将来、太陽が照らず、風力がないとき、頼りになるのは、まもなくガス火力しかなくなる。

だから、イルシングの4、5号機は、出番がなくても補欠バンクに座らされたまま、退場が許されないわけだ。裁判に訴えてもダメで、Uniperにすれば、「だったら、待機の補償費をもっと値上げしろ」といったところだが、目下のところ膠着状態だ。

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