「リアルナンパアカデミー事件」裁判で見えた、犯行の奇妙な構図

塾生の「僕が頭悪いので」発言の意味
小川 たまか プロフィール

「僕が頭悪いので、アドバイスしてくれると思った」

傍聴席には、それまでのRNA公判を傍聴してきた東スポ記者や傍聴ライターの高橋ユキさんがいたが、彼らにとっても保釈取り消しは想定外の出来事だったようだ。

東スポ記者は判決を報じた記事の中で、根本を「大バカ者」と書いている。私も同じように感じた。傍聴者の多くが同じ感想を持ったはずだ。怒りというより呆れに近い。

なぜ、塾長の渡部と連絡を取ったのか。そう聞かれた根本は、消え入りそうな声でこう答えた。

「僕が、頭悪いので、(塾長が)アドバイスをしてくれると思った」

自分では考えられないことを渡部が考えてくれると思った。自分で考えるよりも、渡部の指示に従った方がうまくいくと思った――。根本が言いたかったのは恐らくそういうことだ。逮捕されてなお渡部を信頼し、その助言を仰ごうとしていたかに見える。根本をそこまで頼らせたものは一体何だったのだろう。

2011年頃から活動を開始し、一時期は1000人を超える組織だったというRNA。初公判で容疑をすべて否認した塾長の渡部は一体どんな人物なのか。第三者の目から事件の経緯を追うと、決して彼にそこまでのカリスマ性があるようには見えない。犯行の様子を振り返ってみよう。

「90%不起訴」と主張した塾長の根拠なき自信

RNAはこれまでに渡部のほか、6人の塾生が逮捕されている。前述の通り、渡部は9月10日に逮捕され、その後10月と12月に別の事件で共犯者とともに再逮捕された。

事件発生日と逮捕が交錯していることから時系列がわかりづらいが、まとめると表のようになる。2017年7月の性犯罪刑法改正前の事件では罪名が「集団準強姦」、改正後は「準強制性交等罪」だが、女性を泥酔させ複数人で行為に及ぶ手口はほぼ共通している。

着目するべきは、2018年5月に根本と羽生(はぶ)卓矢(33)が逮捕された後も渡部は「ナンパ」を続け、同年6月17日にも事件を起こしていることだ。

 

渡部は、塾生たちは「冤罪」であり、ましてや自分が捕まるわけがないと思いこんでいたと思われる。これは、根本と羽生が逮捕された5月8日直後に、自身のツイッターアカウント(女好き@RNA)で、こんな内容のことを繰り返しつぶやいていたことからもわかる。※以下、ツイートの一部を抜粋。原文ママ。()内はツイートの日付。/は改行。

「刑事が正義のために動いていると思わない方が良い。これ分かってない人多すぎる。気にくわないから、話題性があるから、そういうので確固たる証拠もなく逮捕して不起訴でも知らんぷりするからね。」(5月9日)
「弁護士が最低限の仕事をすれば90%は不起訴になる事件。この事件の背景を知れば、公判維持できると思えないでしょう。ただ、弁護士が最低限の仕事をするかどうか。刑事事件でちゃんと仕事できて頑張る弁護士はほとんどいません。」(5月15日)

性犯罪が不起訴になることは確かに多いし、刑事や弁護士だからといって全員を信頼できるわけではない。しかし、渡部のこのふてぶてしい自信は何なのだろう。現実にはこの後、羽生・根本は起訴され実刑判決が下っている。6月に逮捕された大瀧真輝(29)も同様だ。

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