トランプ大統領が「一般教書演説」で韓国に触れなかったことの意味

これで米国のスタンスがはっきりした
長谷川 幸洋 プロフィール

問題は韓国だ

ロシアはどうか。米国にとって最大の敵は中国だ。それはマティス国防長官の辞任後、長官代行に就いたシャナハン氏が国防総省での第一声で「中国、中国、中国に気をつけろ」と訓示した件でも、あきらかである。

そもそも、ロシアは国内総生産(GDP)でみれば、中国の8分の1の経済力しかない。旧ソ連の栄光を思えば、プーチン大統領は、なんとしても経済を活性化させて中国を見返したいと思っているだろう。

一方、中国を主敵とする米国からみれば、ロシアとの関係を改善して中国をけん制させたほうが合理的だ。実際、トランプ氏は一貫してロシアに宥和的である。中国をめぐって米ロの思惑は一致する可能性がある。

 

問題は韓国だ。日本の自衛隊機に対するレーダー照射事件が示したように、文在寅(ムン・ジェイン)政権は急速に反日姿勢を強めている。それは北朝鮮に対する宥和路線の加速と軌を一にしている。私は「反日と親北容共路線は表裏一体」とみる。

なぜかといえば、文政権にとって、もはや「北朝鮮は日本と共通の敵」ではないからだ。そうではなく、北朝鮮は「温かく抱きしめるべき同胞」なのだ。だからこそ、北朝鮮に対する制裁解除に反対する日本が敵になる。

レーダー照射事件以降、安倍晋三政権は韓国を友好国とはみていない。むしろ「北朝鮮に内通する敵」という疑いを強めている。防衛省は実務者協議を打ち切った声明で「引き続き、日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく」と書いているが、これは建前にすぎない。

いま安倍政権や自衛隊の中枢で「日韓防衛協力を継続できる環境にある」などと本気で考えている責任者はいない。例外は、照射事件のビデオ公表を渋った岩屋毅防衛相くらいだろう。

トランプ政権の韓国に対するスタンスは演説でもはっきりした。朝鮮半島情勢が揺れ動いているのに、韓国を指す「Korea」は一言もなかったのだ。安倍首相の施政方針演説(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement2/20180122siseihousin.html)でさえ「米国や韓国をはじめ国際社会と緊密に連携」と述べていたのに、ひどい扱いだ。

いや、言い直そう。実に適切な扱いである。韓国は、日本だけでなく米国にも見捨てられつつある。演説で語られなかった点にこそ、新しい発見があった。