トランプ大統領が「一般教書演説」で韓国に触れなかったことの意味

これで米国のスタンスがはっきりした
長谷川 幸洋 プロフィール

習近平は、譲らざるを得ない

大統領はメキシコとの国境に作る壁の建設費が認められない限り、暫定予算を認めず、署名を拒否した。それが史上最長の35日間にわたった政府機関の一部閉鎖につながった。

世論の反発を受けて1月25日に署名したが、それも2月15日までの暫定である。一部には「大統領は演説で非常事態を宣言し、国防費を援用して壁建設費を捻出するのではないか」との見方もあったが、さすがにそれは回避した。

それでも、トランプ氏は「私が壁を作る」と明言し、壁への執着を隠していない。15日までに民主党との妥協が成立するのか、それとも再び決裂するのか、先は見えない。ただ、演説で見せた協調姿勢を考えると、妥協が成立する可能性もある。

トランプ氏は2020年の大統領選で再選を狙っている。再選こそが政権の最重要課題だ。これから、すべての政策は「再選狙いで動いていく」のは確実である。

 

議会がねじれ状態なので、内政を強気一辺倒で押していくのは難しい。すると、外交面で得点を稼ごうとするだろう。中国と北朝鮮、それに韓国、ロシアとの関係はどうなるのか。

中国は「貿易戦争で米国に勝てない」と分かっている。昨年11月30日公開コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58716)で書いたように、中国の米国からの輸入額は、米国の中国からの輸入額の3分の1程度しかなく、トランプ政権の制裁関税に同じ規模では対抗できないからだ。自ら信用不安を招いて人民元が急落する懸念があるので、米国債の売却もできない。

習氏は結局、大胆に譲歩して米国との対立を貿易分野にとどめようとするだろう。すでに、米国産大豆の大幅輸入拡大や自動車関税の引き下げなどがメニューに上がっている。トランプ氏とすれば、もちろん大歓迎である。

だからといって、根本的な対立が解消するわけではない。1月11日公開コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59371)で書いたように、南シナ海での軍事基地建設をはじめ、中国の対外膨張路線は止まらないからだ。いずれにせよ、トランプ政権は中国を締め上げていく。

北朝鮮については、引き続き制裁圧力を維持するだろう。具体的な非核化なしの制裁解除は考えられない。正恩氏は中国の後ろ盾を頼みに抵抗するだろうが、米中交渉の展開次第では、むしろ中国は米国をなだめるために、北朝鮮に圧力をかける可能性もある。