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トランプ大統領が「一般教書演説」で韓国に触れなかったことの意味

これで米国のスタンスがはっきりした

中国による「知的財産の窃盗」を明言

米国のトランプ大統領が2月6日(日本時間)、政権の基本課題を示す一般教書演説を行った。率直に言って、目新しさに欠けた印象である。議会下院の多数派を野党、民主党に握られ、大統領は安全運転に徹するのだろうか。

中国との貿易戦争や朝鮮半島情勢など緊張が続く中、今回の演説(https://www.whitehouse.gov/sotu/)はトランプ氏の姿勢を占う材料として注目された。当初は1月29日(米国時間)の予定だったが、政府機関の閉鎖が長引き1週間遅れになった。

フタを開けてみれば、拍子抜けといってもいいほど、中身は乏しかった。2月27、28両日にベトナムで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と2回目の会談を開くことが明かされた程度である。それも事前に報道されていた内容をなぞっただけだ。

北朝鮮について、あとは「私と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との関係は良好」とか「私が大統領に選ばれていなかったら、北朝鮮と戦争になっていた」「核実験やミサイル発射は止まった」「拘束されていた米国人は帰国できた」といった程度である。これからどうする、といった話は何もなかった。

 

中国との貿易戦争についても「中国は何年もの間、我が国の産業を標的にして知的財産を盗み、米国の雇用と富を奪ってきた。それはもう終わりだ、と中国にはっきり告げた」とあらためて、中国を批判をしたくらいである。

それでも「知的財産の窃盗」を大統領の口から明言したのは、成果と言えるかもしれない。

そのうえで「中国と合意するには、不公正な貿易慣行を止め、慢性的な米国の貿易赤字を減らし、米国の雇用を守らなければならない」と述べた。一方、毎度のことながら「習近平国家主席を非常に尊敬している」と褒めるのも忘れなかった。

中国には総額2500億ドルの制裁関税をかけながら「中国が米国をうまく利用してきたことを非難はしない。(米国の対中貿易赤字は)これまで米国の指導者や議会人がこんな喜劇を許してきたせいなのだ」と宥和的な姿勢も見せた。

演説は冒頭から「私が今夜示す政策課題は共和党や民主党の課題ではない。米国人の課題だ」と切り出し、民主党攻撃を封印した。最後の締めでも「いまは市民として、隣人として、愛国者として、私たちを結びつける愛と忠誠心、記憶の紐帯を蘇らせるときだ」と一致団結を呼びかけた。

一致団結の呼びかけは演説の定番である。とはいえ、トランプ氏にとっては、なおさらだったろう。昨年の中間選挙で下院で与党、共和党が大敗し、大統領の予算案や法案が成立するかどうかは、多数派の民主党が鍵を握っているからだ。