# LGBT

「LGBTは家も借りられない」はどこまで本当か…当事者のリアル

変わらないこと、変わり始めたこと
永易 至文 プロフィール

LGBTフレンドリー物件、URのハウスシェアリング

公営住宅は終戦後、家族向け住宅が不足した時代に建築が進められ、同居親族のあることが入居要件で(公営住宅法)、親族でないとされる同性パートナーとの申込みは不可能でした。

しかし、2012年に親族同居要件が廃止され、地方分権で入居要件は自治体裁量とされます。ほとんどの自治体が従来の親族同居要件を踏襲していますが、パートナー制度を実施した世田谷区は、区の公営住宅条例を改正して同性カップルの申込みに門を開きました

一方、民間でもLGBTブームのなか、「LGBTフレンドリー」をかかげる不動産事業者も散見されます(ネット等で検索)。リクルートグループの不動産・住宅サイトSUUMOでは「SUUMO for LGBT」を展開、LGBTフレンドリー物件(「LGBTであることを理由として、入居の相談や入居自体をお断りすることはない」と、積極的に意思表示する物件)の表示・検索ができます。

こうした企業の先駆的取り組みを評価する一方、物件が少ないとか、ネットだけでは実際どういう対応なのかわからないという声も聞いたことがあります。前節で紹介したように、ことさらLGBTフレンドリーといわずとも、個々の不動産屋さんが「どのような背景をもとうと、すべてのお客さんに住まいを見つける」という気概をもってほしいものです。そのためには当事者のがわも、同性カップルや戸籍未変更など伝える必要のある情報をきちんと伝え、不動産屋さんと信頼関係を築く努力も必要でしょう。

 

ところで、独立行政法人 都市再生機構(UR、昔の公団住宅)のUR住宅は親族要件のある準公営住宅ながら、2004年に非親族どうしでも申込みできるハウスシェアリング制度を導入しています。当時、私はあるゲイ雑誌でコラム記者をしていましたが、UR本部広報へ直撃し、同性カップルの入居も予想しているというコメントをもらい、紹介してもらった天王洲のUR物件の取材記を書いたことがあります。

UR住宅は「中堅所得層向け住宅」で、公営住宅のように低収入の人が所得に応じた使用料で入居する住宅と異なり、かならず安いわけではありませんが、古い団地にはそれなりに低廉なものもあり、要件さえ満たせば先着順で入居でき、大家の好き嫌いに振り回されることはありません。

2人それぞれの名義で契約し、一方が不在になっても安心です。私は同性カップルの住宅相談にはよく紹介していますが、いまだに「初めて知った」というかたばかりです。

また、大阪府でも2006年に、公営住宅法が適用されない府独自の住宅供給公社住宅に、UR同様のハウスシェア制度を導入しました。府議会議員でのちにレズビアンを公表した尾辻かな子さん(現・立憲民主党衆議院議員)の質問に答えたものです。

賃貸住宅をめぐっては、「LGBTは家を借りられない」という悲話に「安住」するのではなく、さまざまな動きにアンテナを張っていくことが、サバイバルの知恵ではないでしょうか。同時に、賃貸住宅は一生、家賃を払うのが宿命(購入との比較は稿を改めて紹介します)。そのための老後の資金計画は、セクシュアリティにかかわりなく大切です。

横浜市の女性センターでは非正規など低所得者向けのサポート講座を開催https://www.hiseiki-singlewomen.info/news/2018年度セーフティ講座/住宅問題で、筆者もFPとして出講し、家賃を払い続けられるためのマネープランについてお話しました