ゴーン氏の弁護士を尾行…東京地検特捜部「極秘作戦」の狙いと中身

精鋭100人が、動向を完全把握
時任 兼作 プロフィール

弁護士が接触する「ある人物」

もうひとつは、ホテルのラウンジで密会していた弁護士の「不可解な動き」である。同地検関係者によると、この弁護士はメディアに接触し、ある女性の代理人を務める弁護士の氏名を聞き出そうとしていたという。

以前、ゴーン被告の資産管理会社が新生銀行を介して行ったデリバティブ取引で、約17億円の損失を出した際に、追加担保を求めた中心人物である政井貴子氏のことだ。

 

政井氏らは当時、日産が取締役会で議決を行うことを条件に、この取引を日産に付け替えようとしたが、証券取引等監視委員会から背任の恐れもあるとの指摘を受けて、撤回した。

にもかかわらず、東京地検はこれをもって特別背任の容疑でゴーン被告を逮捕している。政井氏の証言が出れば、東京地検に不利にはたらきかねない。もっとも、前出の地検関係者はこう言って自信を示す。

「政井氏は現在、日銀政策委員会の審議委員だ。その立場からすると、以前にもまして『あれは正当な取り引きだ』『日産に損害など与えていない』と主張するだろう、大丈夫なのか――。事が明らかになった当初はそんな不安の声も出たが、資産運用の話の裏付けは、ゴーン被告と運用担当者との間のやり取りなどからしっかり押さえられているので、すぐに消えた」(同前)

また、このゴーン氏の弁護士は内閣情報調査室の幹部とコンタクトを取っていたともいう。

「事件が『日産に対する米国の陰謀だ』という説の裏付けを取り、無罪を主張しようとしてのことだったようだが、ナンセンスな話だ」(同前)

要するに、東京地検は弁護側の動きや狙いまで完全に捕捉しているということだ。捜査や公判の懸念材料についても、すでに対応策が講じられているともいう。

膨大な証拠類に加えて、捜査に関連する周辺情報まで押さえ、かつ組織的な守りも固い東京地検特捜部。その捜査の網は容易に破れそうにない。ゴーン被告は、この「スパイ戦」をどう迎え撃つのか。

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