ゴーン氏の弁護士を尾行…東京地検特捜部「極秘作戦」の狙いと中身

精鋭100人が、動向を完全把握
時任 兼作 プロフィール

現場に現れた「別の機関」

その証拠に、事務官は採用時には一般の国家公務員と同じく行政職の俸給しか支給されないものの、一定の勤務経験を積むと職務の特殊性が考慮され、より報酬の高い公安職の俸給が支給されるようになるのだという。

これは、捜査や治安維持を職務とする警察の捜査員らに合わせるための措置とも言われているが、特捜部の捜査員の働きはその報酬に見合ったものだ、と前出の地検関係者は評価し、こんな内幕を明かした。

「東京地検の場合は、特捜部内の『機動捜査担当』と言われる部署に所属する精鋭の捜査員100人近くが、それこそ警視庁の刑事や公安の捜査官顔負けの捜査を日常的に展開している。尾行もすれば、張り込みもする。必要とあれば、盗聴、盗撮、メール傍受も辞さない。ゴーン事件の捜査でも同様だ」

 

まさに冒頭のシーンがその一端を示すものであったわけだが、それにしても、こうした彼らの捜査内容が明らかになるのは珍しい。通常は少数の捜査員によって極秘裏に進められるため、まず外部には情報が出ないものだ。

今回それが漏れたのは、東京地検特捜部によるゴーン事件の捜査に大量の捜査員が投入されていたからとみられる。

「事実、多数の捜査員が動員されており、その活動は多岐にわたっている。とくに力が入れられているのが、尾行など関係者の行動確認にあたる捜査だ。

日産や金融庁などから上がってきた資料の調査や、それに付随する国際捜査、さらに電話やメール傍受によって明らかになった重要人物の監視にも、膨大な人員が割かれている」(前出の地検関係者)

そうしたなか、捜査は著しい進展を見せた。

ゴーン被告が資産管理などのために代理を依頼している弁護士事務所と担当者名が判明し、その弁護士とのやり取りの内容も把握できたばかりか、ゴーン被告の個人的な資金運用担当者の氏名、加えて双方が交わしたメールまで確認できたというのである。別の地検関係者も、

「もはや、次の逮捕も可能な状況だ。実際にやるかどうかは、さておいて」

とさらりと認めた。捜査の中では、予想外の事実も判明したという。

ひとつは弁護団の中に、別の機関の捜査員から行動監視を受けている者がいたことだ、と前出の地検関係者は明かす。

「うちの捜査員がその人物の自宅周辺に張り込んで監視をしていると、近くにうちのではない車両があった。最初はマスコミかと思ったが、どうも我々と同じく24時間体制のようだ。つまりは、捜査員ということだ。

そこで、車両のナンバーを照会してみると、別の機関のものだと確認された。後日、その機関の車両は東京拘置所付近でも見かけられた。弁護士接見に向かった監視対象を追尾してのこととみられる。

気になるのは、かなり本腰を入れていることだ。ゴーンの件以外の容疑で事件化されたりしたら、たまったものではない」

そう言って、捜査や公判への影響を懸念した。

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