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ゴーン氏の弁護士を尾行…東京地検特捜部「極秘作戦」の狙いと中身

精鋭100人が、動向を完全把握

まるで映画の一幕

今年1月上旬。都心のホテルのラウンジで奇妙な光景が目撃された。

片隅で密談を交わすふたりの男と、それを遠巻きに、さりげなく監視している一団。一団は、この密会風景をこっそりと撮影している。そしてふたりが別れると、二手に分かれ、それぞれの尾行へと転じた――。

まるでスパイ映画の一幕のようだが、実は勾留中の日産の前会長、カルロス・ゴーン被告に対する継続捜査であった。ふたりの男は、ゴーン被告の弁護団の弁護士とその関係者。後者は東京地検の捜査員の一団だったのである。

 

「あまり知られていないようだが、東京地検特捜部だけでなく、全国の地検(地方検察庁)には事件捜査に当たる捜査員がいる」

と、取材に応じた地検関係者は言う。

「東京・大阪・名古屋地検には、国税局や証券取引等監視委員会、公正取引委員会などの告発を受けて、大型の汚職事件や企業犯罪について独自捜査を行う特捜部(特別捜査本部)が置かれている。それを筆頭に各道府県の地検にも、やはり独自に捜査を行う特別刑事部が置かれ、捜査員が在籍している」

この捜査員たち、そもそもの身分は「地検事務官」であるという。彼らは国家公務員採用一般職試験(旧二種・三種)に合格した者たちで、採用後、捜査・公判部門、検務部門、事務局部門のいずれかに配属される。

それぞれの職務内容は、こんな具合だ。

捜査・公判部門では、おもに検事と組んで、事件の調査や取り調べなどを行ったり、公判において立証等のサポートをするほか、交通事故など軽微な事件については、取り調べを単独で行う。もっとも、最近では窃盗や傷害事件などの刑事事件を担当することも増えてきているという。

検務部門に配属された者は、文字通り、検察事務に当たる。たとえば、警察等から送られてきた事件を受理する事件事務がそうだが、そのほかに、事件の証拠物の受け入れ、保管、処分等を行う事務、罰金等を徴収する事務、犯罪歴の調査や管理をする事務、裁判記録を保管し、閲覧等に対応する事務がある。また、懲役や禁固刑が裁判で確定した後、その執行にかかわる事務も担当している。

そして事務局部門は、一般の会社で言えば、総務、経理に相当するセクションである。職員の福利厚生や庁舎の維持・管理、また事務用品や資器材の手配・管理、歳入歳出の事務などを管轄している。

これらのなかで最も重視されているのは、やはり起訴や公判の行方に深くかかわる捜査部門とされる。