日本の「保育崩壊」は起こるべくして起きている…その問題点と解決策

阿部知子・衆議院議員インタビュー
小林 美希 プロフィール

小林:公立保育所運営費の一般財源化に伴い、国が行っていた「産休等代替職員制度」も2005年から廃止されたことの影響が大きいでしょうか。

阿部:これまで産休の代替職員が制度化されていたことで「母性保護」が守られてきたわけですが、それが叶わなくなることの弊害は大きかったのではないでしょうか。

子どもが好きでなる職業なのですから、自身も妊娠、分娩、子育てを経験することは貴重なことです。保育のプロである保育士だって、自分の子育てを通してはじめて「なぜ今、赤ちゃんが泣くのだろう」と悩むことがあるのですから。

ああ、赤ちゃんは、(大人の)マイペースではなく、(赤ちゃん自身の)ユアペースでいかなければいけないと実感し、意識が変わることもあるのです。

自分の子育てと仕事が両立できずに辞めていく保育士は多いはず。資格をもちながら現場で働いていない「潜在保育士」が増えていくのも当然です。短時間労働の正社員のような形で保育士が増えることも必要です。

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社会全体で問題視しない限り解決しない

小林:子育てしながら働き続けるために必要なことは何でしょうか。

阿部:今、働く女性が母であることが大事にされない社会になってはいないでしょうか。非正規雇用では妊娠もままなりません女性も男性も子育てしながら豊かに生きることができるようサポートできる社会が必要です。

子育て中の親が早く帰宅できるようワークライフバランスを図ることも重要です。一方で、延長保育や24時間保育を利用しないと働き続けられない親がいることも事実で、そうした労働者層ほど厳しい環境にいるわけですから、長時間保育や夜間保育も充実させて、保育の質も守っていく必要もあります。

 

保育の質の低下のはじまりは「委託費の弾力運用」。そして、再起不能にさせるのが保育の質を問わない今のやり方の「幼児教育の無償化」になるでしょう。

この問題について、社会全体が気づかないと止められない。子どもの未来を奪っていいのかと、社会全体で問題視しない限り解決することが困難なのです。

立憲民主党の子ども子育てPTの座長の使命としても、本当に大事な子どもの命や育ちについて真剣に取り組みたいと思っています。