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米中貿易戦争、劣勢の中国がすがる「毛沢東式持久戦論」とは何か

時間を稼げば稼ぐほど…

共産党委員会からのメッセージ

中国は、今日(2月5日)が春節(旧正月)で、いまは一週間の連休(4日から10日)の真っ最中である。

中国中央テレビのニュースによると、「4億人の民族大移動」が起こっている。海外にも700万人も出掛けるという。日本の海外出国者数が毎月150万人前後なので、わずか1週間ほどで日本の4ヵ月分以上の人数が出国することになる。「爆買い」ならぬ「爆外」である。

中でも、海外旅行先ランキングで一番人気が日本だ。これは、中国の大手旅行代理店「携程」(シー・トリップ)がこのほど発表した「2019 春節出境遊ビザ人気・便利度ランキング」で示されたものだ。人気ランキングの棒グラフを見ると、日本は2位のタイを2倍近く引き離して、ダントツの1位になっている。

この日本への「民族小移動」(?)の一部を成して、私の中国の友人知人も続々、来日している。そのためこの時期、夜はほとんど毎日、中国人との会食だ。ここ数年、こうした傾向が続いている。

しかも、以前なら近所の適当な居酒屋に連れて行っても喜々としていたものだが、いまやスマホに搭載した中国のアプリで、行きたい店を指定してくるからやっかいだ。日本酒の銘柄を、5~10種類くらい言えたりもする。

そんな一人、北京で某名門大学の教授を務める友人が来日した。以前、中国共産党の学習に四苦八苦していると言っていたので、「この一週間くらい、『任務』を忘れてゆっくりしてよ」と水を向けた。すると彼は、やおら自分のスマホを取り出して、「微信」(WeChat)の受信欄を見せてくれた。微信は「中国版LINE」で、10億8000万人の中国人が、日常的に使っている。

画面上には、彼の所属先の共産党委員会から送られてきたメッセージが記されていた。

〈 春節連休中は、主に3つのことに心掛けてすごすように。第一に、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を真摯に学習すること。第二に、家族の安寧と団欒を大切にすること。第三に、交通事故など不慮の事故に気をつけること 〉

中国においては、共産党は、家族や健康よりも上に来るのである。もしかしたら西洋におけるキリスト教、アラブ世界におけるイスラム教のような存在なのかもしれない。

そう言えば、北京へ行くと「有国才有家」(国があって初めて家庭がある)という標語を見かける。2015年4月には、王岐山副主席(当時は党中央紀律検査委員会書記)が、日本やアメリカから来た学者たち(フランシス・フクヤマ氏や青木昌彦氏ら)に、「習近平総書記は神である」と説いて、ひとしきり話題を呼んだことがあった。

ホワイトハウスの声明から解ること

その「神の使徒」となった劉鶴副首相と易綱中国人民銀行総裁が、春節を前にした現地時間の1月30日と31日、ワシントンで米中閣僚級貿易協議に臨んだ。アメリカ側は、ライトハイザーUSTR(米貿易代表部)代表、ムニューシン財務長官、ロス商務長官らが参加した。

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2日間にわたった交渉について、31日の協議終了後に、ホワイトハウスが声明を発表した。以下、その全文を訳出する。

〈 この2日間、米中の高官たちが、両国の経済関係について、激烈で生産的な交渉を行った。アメリカは、この会議を通じて劉鶴副首相と彼のチームが示した準備と真摯な態度、そしてプロ意識を評価する。

会議では、以下を含む広範囲な問題をカバーした。

(1)アメリカ企業が中国企業から圧力をかけられている技術移転の方法;
(2)中国における知的財産権の強力な保護と執行の必要性;
(3)中国でアメリカ企業が直面している多数の関税及び非関税障壁;
(4)アメリカの商用資産に対する中国からのサイバーによる窃盗の損害;
(5)補助金と国有企業を含む市場を歪める強制力が、いかに過剰生産につながるか;
(6)中国向けのアメリカの製品やサービス、農産物が制限を受けている市場障壁や関税を撤廃する必要性;
(7)米中の貿易関係における通貨の役割。双方はまた、莫大で増加していくアメリカの中国に対する貿易赤字を削減する必要性について議論した。

アメリカの農民、牧場主、製造業者、企業から中国が購入することは、交渉の重要な一部分である。

 

双方は、すべての主な問題について取り組むための有益な意欲を示した。そして交渉のセッションでは、両国の相違点をどうやって解決していくかについて、生産的で技術的な議論が交わされた。

アメリカは特に、構造問題と赤字削減において有意義なコミットメントに達することに焦点を当てた。両側はいかなる決定事項も完全に執行可能であることに合意した。

こうして進捗はしたものの、多くのやるべき仕事が残されている。

ドナルド・J・トランプ大統領は、ブエノスアイレスで合意した90日間のプロセスに、厳しい期限を設定している。もし2019年3月1日までに米中が満足のいく結果に到達しない場合は、アメリカは関税を引き上げる。アメリカはこれらの重要なトピックを、中国とさらに協議することを期待している 〉

ここには、具体的な合意内容は盛り込まれていない。だが、何となくまとまりつつあることが示唆されている。内政がピンチ続きのトランプ大統領としても、外交で成果を上げる必要に迫られている。