感染拡大か…恐怖の「豚コレラ」が日本全土を襲う危険性

長野、滋賀、大阪でも陽性確認

岐阜県で、昨年9月から家畜伝染病「豚コレラ」が発生している。

一時は収束するかに見えたが、今年に入り、7例目が新たに確認された。1992年以来の26年ぶりの発生となるうえ、国内にこれまでなかった型のウイルスで、海外から侵入したとみられる。さらに5日には愛知県豊田市の養豚場でも、陽性反応を示す豚が見つかった。

一方、中国では豚コレラとは別のウイルスでワクチンがない「アフリカ豚コレラ(ASF)」がまん延している。今週からの春節で本格的に増加する、中国人観光客が持ち込む豚肉食品を、空港など水際で止める対策が急務となっている。

 

人の食べ残しをイノシシが食べて…

豚コレラは豚やイノシシに感染する病気で、高熱や食欲不振などの症状を引き起こす。感染力が強く致死率も高い。身体接触や食品を介して主に伝染するが、人には感染しない。感染が発見された場合は、発生農場の豚を全頭殺処分するのが基本対策となる。今回の流行でも、農林水産省はすでに7例目までで1万658頭を殺処分している。

豚コレラの抗体ワクチンは存在するが、養豚農家にかかるコスト面の負担が大きいこともあり、日本国内では2006年4月から使用を中止している。また、ワクチンを家畜豚に投与した場合、獣疫に関する国際組織である国際獣疫事務局(OIE)が定める「清浄国」の認定を外れるため、豚肉の輸出に影響が出る可能性がある。

農水省としては、殺処分と囲い込みによる拡大防止で収束させ、ワクチン投与は避けたい考えだ。

今回発見されたウイルスは、欧州や、中国などのアジアで検出されているもので、国内では初のタイプだ。農水省は「加熱が不十分な豚肉製品を観光客が持ち込み、それが捨てられて、野生イノシシが食べたことが感染ルートとして考えられる」との見方を示している。

2014年に中国で豚コレラが発生したときの様子(Photo by gettyimages)

家畜伝染病予防法では、十分に加熱されていない豚肉食品の日本国内への持ち込みは禁じられているが、飛行機での手荷物を全て調べるわけにはいかないため、税関などをすり抜けてしまうのが実情だ。

国は感染ルートの特定を急いでいるが、最も考えられるのが中国からのルートだ。

中国全土からは週に約1000便の直行便が訪れており、昨年の間に全国の空港や港で没収された肉製品のうち、半数の約50トンは中国からの旅客によるものだ。

関東のある養豚農家はこう分析する。

「最初に豚コレラが発生した岐阜県に空港はありませんが、県内で働く中国人を、その家族や友人が中部国際空港経由で訪れ、その際に感染源の食品が持ち込まれたのではないか、というのが業界の定説になっています。

1例目が発生した農場の近くにはバーベキュー場があり、そこで捨てられた食べ残しの肉を野生イノシシが食べて、感染したとみています。現に、1例目が発覚する前から、岐阜では野生イノシシの感染が確認されていました」