「千葉小4女児死亡事件」で痛感…日本の児童虐待をめぐる厳しい現実

母親逮捕から見えてくること
井戸 まさえ プロフィール

地方自治体の対応

そもそも、そのような認識は少なくとも虐待防止の最前線にいる地方自治体側にはない。

この事件について当該自治体の長、野田市長が発表したコメントを見てみよう。

「小学女子児童虐待事件についてのお詫び」

このたびの悲惨な事件について、市長としてお詫び申し上げます。これから人生が始まるといってもいい幼い栗原心愛(みあ)さんの命を救えなかったことについては、心から申し訳なく思っております。また、ご心配ご迷惑をおかけした市民の皆様にもお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
子どもたちへの投資を第一に掲げ、市長として子どもたちのための施策を実施してきた私としては、誠に遺憾であり、残念でしょうがありません。しかし、今回の不幸な事件が子どもたちに与える影響を最小限とすることが、今、私が、すぐに行わなければならないことですので、教育委員会、学校と協力して、まず子どもたちのケアにあたってまいりたいと考えております。
さらに、心愛(みあ)さんの尊い命を無駄にしないよう、この事件の検証と再発防止策に全力であたってまいりたいと考えております。
野田市長 鈴木 有

お詫びに続いて「子どもたちへの投資を第一に掲げ、市長として子どもたちのための施策を実施してきた私としては」と自己アピールから入るこの文章の中には、母子のケア、母親支援という視点はゼロである。

事件を受けての同級生等、こどもたちの心のケアはもちろん大事、当然であろう。ただ、心もとないのは「心愛(みあ)さんの尊い命を無駄にしないよう、この事件の検証と再発防止策に全力であたってまいりたい」と言いながらも、そこに緊急性が感じられないのである。

 

過去を調査して心愛さんのような危険事案があるのか、ないのかの把握と、あった場合、一刻も早く子どもだけでなく、家族、特に母親たちのケアに入るべきだ。

この件の「検証」は大事だが、まずはできうる限りの「再発防止策」を施すことが先である。

もちろん野田市が特別ひどいとは言わない。これが日本の児童虐待対策を最前線で行なっている地方自治体のスタンダードなのだ。

こうした事件が起るたび、批判や強化の対象となるのも「児童相談所」である。

よく言われる児童虐待対策として掲げられる5点は、いずれも児童相談所を中心にしたものである。

①児童相談所の人的拡充と機能強化
②親権の制限
③児童相談所と警察の全件情報共有

④里親や特別養子縁組の支援
⑤児童養護施設やファミリーホームなど、一時保護施設の拡充

冒頭に紹介したように、これらは虐待事案が起こる度に指摘され、実際に予算も拡大されている。効果はないとは言わない。

しかし、DVを受けている「母親支援」に特別に取り組まなければ、日本の虐待事案は「絶対になくならない」のである。