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東横線、田園都市線、池上線……東急沿線が人気であり続けるヒミツ

なぜ「沿線人気ナンバー1」なのか?
東浦 亮典 プロフィール

「田園都市」をどう再生するか

都心を中心とした同心円をイメージしてください。経済的な発展と人口膨張が落ち着くと、都心から遠いところから、徐々に人口は少なくなっていきます。

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それは均等に少なくなるわけではなく、「手のひら」のように、指にあたる鉄道路線に至近のエリアはまだ大丈夫ですが、指と指の間、つまり交通利便性の悪いエリアから住人が欠けて縮小していくのです。

また路線別でも等しく縮退しているのではなく、東武沿線や西武沿線の遠隔地や京急沿線の三浦半島方面などは人口減少、高齢化ともに問題となっています。

人口のパイはどうしても減ってやがてマイナスサムになりますから、創意工夫をして「選ばれる沿線」にしていかないと地域間競争に負けてしまいます。

東急は「交通」「不動産」「生活サービス」という三つの柱を基本として、広く事業を展開しています。開発の終わりは仕事の終わりではありません。一次開発が終わり、宅地販売が済んだからといって高齢化が進んだ地域をそのまま放置してしまうと、通勤・通学する人が減って鉄道収入が得られなくなってしまいます。

駅前、駅上にたくさん投資してきた商業施設や生活サービス関連施設の利用が少なくなると、街そのものが衰退してしまいます。これは東急にとっての最悪のシナリオです。初期の開発とはまた違った手法を編み出して、反復継続して再投資・再開発・再生事業を続けていかなくてはならないのです。

東急グループ全体として、新たに沿線に人をたくさん流入させることも大事ですが、いったん流入した人が定着して、そこで一生安心して楽しく快適に住み続けていける環境を維持していくことも等しく大事です。

 

多摩田園都市は多摩丘陵沿いに開発されたため、坂道や階段が多いことが街の特徴になっています。30代、40代でこの街に移住してきた頃は、まだ体力もマイカーもあるので、そんな土地の起伏も街の風格に映ったことでしょう。

しかし、体力の落ちた方、障害を抱えた方、運転免許を返納した方などには極めて住みにくい街の構造をしています。それは多摩田園都市を開発した頃には、いずれそのような社会が到来するとは想像しきれていなかったからです。

東急グループでは鉄道とバスは運行していますが、その他の多様なモビリティサービスを提供できていません。今後は少人数での短距離移動に向いた「パーソナルモビリティ」や好きな時にどこでも乗り降りできる「フルデマンドバス」、あるいはシェア型のモビリティサービスなどを街中に充実させていく必要があります。

「この街に引っ越してきて良かった」「この家を終の棲家としたい」、そう感じて人生の最後まで安心安全、便利、快適に過ごしていける、そんなまちづくりをすることがまちづくりデベロッパー東急の使命だと考えています。

誰もが必ず迎える「老い」という現実。「街」とは生き物であり、まちづくりとは一旦造り上げた街に継続的に手を入れながら、その後も見守り続けること。その責任が東急にはあると思っています。