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東横線、田園都市線、池上線……東急沿線が人気であり続けるヒミツ

なぜ「沿線人気ナンバー1」なのか?
東浦 亮典 プロフィール

高まる世田谷線、池上線の人気

現在、東急電鉄では池上線を「生活名所」と銘打って、地域の商店街などと協働してかつてないほど力を入れて独自の沿線ブランディングを進めています。

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世田谷線沿線でもNPOや地元商店街とともに、花植えや食べ歩きイベントなどを連携したり、観光系ベンチャー企業と協働してインバウンド観光客を誘致したりして、ありのままの世田谷線を楽しんでいただく活動をしています。

若く感度の良い人たちを中心に、池上線や世田谷線が持つローカリズムを再評価する動きもあります。

駅で言うと世田谷線の松陰神社前駅や上町駅、山下駅(豪徳寺の周辺)、池上線では戸越銀座駅や洗足池駅、池上駅などが注目されています。

良い街の条件はいろいろあると思いますが、活気ある商店街や個人経営の個性的な店がたくさん残っていることに集約されるのではないでしょうか。

企業がショッピングモールを計画する場合、ある程度の資本力と信用力があるテナントを入れざるを得ません。その結果、日本中のショッピングモールが同じようなテナント構成となり均質化してしまっています。

創意工夫を凝らした個人経営の店がどれだけ残っているか、車の往来を気にせず、ゆったりと街を歩いて移動できるか。こういう要素がこれからの街の価値の向上につながっていくと私は思います。

目黒線の武蔵小山駅前には、かつてとても魅力的な猥雑な飲み屋街が残っていましたが、今は市街地再開発事業によって跡形もなく取り壊されてしまいました。数年内にタワーマンションが建ちます。

駅前から続く巨大アーケード街も賃料高騰により生業で経営している店はほとんどなくなり、全国チェーンのお店ばかり。便利ではあるでしょうが、面白さに欠けてしまいました。アーケード街の一本裏道に入ると味わいのある店がいくつか残っているのがせめてもの救いです。

 

沿線の個性を大事にしながら開発を進めることは簡単なことではありませんが、それが私たちの使命でもあると考えます。これらの路線は距離が短くコンパクトなので、路線の個性を出しやすいのも強みです。

東急沿線全体の人口は、2018年の推計ベースで2035年がピークと予測しています。以前の調査では2025年がピークと予測されていましたので、人口減少に転ずる年次が10年も後ろ倒しになったことになります。

これは首都圏レベルでの都心回帰傾向と、東急沿線人気による社会増などによるものです。直近の統計データでは東急沿線人口は約530万人となっており、10年前と比較しても約28万人も増加。日本全体が人口減少社会に突入していることを考えれば、東急沿線の人口増加ぶりは目を引くものがあります。

しかし人口が増えているからと言って安心はできません。東急沿線も確実に高齢化はしています。生産年齢人口は、2025年をピークに減少に転じます。

町丁目別の人口動態をみると、田園都市線の青葉台駅のバス圏などでは人口が高齢化と同時に減少している地点が出てきました。

かつて多摩田園都市は「新興住宅地」と言われていました。しかし、このままの傾向を放置していると、ニュータウンはあっという間にオールドタウンへと変わり果ててしまうでしょう。まちづくりデベロッパーとして、東急はそれを傍観しているわけにはいきません。