米政界にSNS革命?新星オカシオ=コルテスの「心をつかむ技術」

ミレニアル世代ならではの巧みさと限界
奥村 信幸 プロフィール

絡んでくる保守系メディアに反撃

しかし新人は、目立つほど風当たりも強くなる。オカシオ=コルテスもまた、トランプ大統領に近いメディアやソーシャルメディアの共和党支持者たちの格好の標的になってきた。

中間選挙を前にした2018年9月、議員になることもまだ確定していないうちに、彼女はカルチャーやファッション、エンターテイメントの話題が中心のウェブマガジン「インタビュー」に登場した。

彼女の選挙区出身の女優ケリー・ワシントンを相手に、生い立ちや政治信条、コミュニティづくりなど、ハードな政治の話題というよりは若い読者に向けて彼女の人間的な魅力を引き出すようなインタビューだったのだが、ファッショナブルな紙面作りのために、彼女が着た「衣装」が槍玉に上がった。

このウェブマガジンには、スペインのデザイナー、マノロ・ブラニクのグリーンのパンツスーツを着て、ビルの入り口の階段に腰掛けてポーズを取ったり、通行人のセルフィーに応じたりする写真が掲載されている。これにチャーリー・カークという右翼活動家がツイッターで噛みついた

「庶民のチャンピオンのふりをしているこいつは、『金持ちが力を持ちすぎている』と言う一方で、3500ドル(約40万円)のスーツと625ドル(約6万5000円)の靴を履いてるぞ」

彼女はすぐにツイッターで反撃した。

「このオルタナ右翼は、雑誌撮影がどんなふうに行われるかも知らないの? まあ、そういう目立ちたがりの攻撃には慣れてる。だって私は古着の達人だもの」

トランプ大統領に近いFOX Newsの「FOX and Friends」というトークショーでも、女性司会者を含む3人の出演者がこのやりとりを取り上げ、「600ドルの靴なんて履かないよね」とからかった

ファッションを扱うウェブマガジンに、スタイリストが準備した最先端のファッションを着て登場するのは当然で、言いがかりもはなはだしい。いまだに(日本と同様、アメリカでも)政治報道の世界では、女性政治家のファッションや髪型に注目する「文化」が根強いことは事実である。しかし、ジャーナリストたちは、それが女性政治家のみならず、一般女性をも傷つけているということに気がついていない。

 

オカシオ=コルテスが11月に初めて議会を訪れた際も、ワシントン・イグザミナー誌記者のエディー・スカリーが、議会スタッフから送られてきたというスーツ姿の彼女の後ろ姿の写真をポストして、「このコートとジャケットは、毎日いろいろ戦っている彼女としては、どうなんだろうか」とツイートした。このツイートには怒りの反応があふれ、スカリー記者はツイートを削除した。

当のオカシオ=コルテスは、「そういう人は私が袋みたいな服で議会に現れても、奮発して買った服を着てきても、後ろから写真を撮って笑うのよ。闇は光が怖いから」とツイート、16万以上の「いいね」が押され、2万7000回以上リツイートされた。スカリーは「エレガントだという意味で言ったのが誤解された」と苦しい言い訳をしたが、オカシオ=コルテスはさらに「女性蔑視のツイートを謝罪もせずに消去するわけ?あなたもジャーナリストなら、自分のバイアスをちゃんと説明したら?」と、追い打ちのツイートをした。

その後ネット上では、スカリーの「議会関係者が送ってくれた写真だけど、戦っている彼女の服としてはどうなのかな?」というセリフが「ミーム」となり拡散したほか、スカリーが過去にも女性の後ろ姿の写真をいくつもツイッターにアップしていた事実も晒されてしまった。今のところ「ネット民」はオカシオ=コルテスの味方のようだ。

他にも最近では、女性がバスタブで脚を自撮りした写真を、FOX Newsの司会者が経営する右翼系サイト「デイリー・コーラー」が「オカシオ=コルテスのヌード・セルフィだ」との見出しで掲載、批判を受けても見出しを変えて元の記事を掲載し続けるという事件があった。彼女は「最低(disgusting)」とツイートで反撃した。ニューヨーク・タイムズによると、この脚がオカシオ=コルテスのものではないと「検証」したのは、掲示板サイト「レディット」の「脚フェチ」の話題に集まる人々だったという

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