2019.02.08

普通のサラリーマンをユダヤ人虐殺に突き進ませた「組織悪」の正体

疎外を恐れる我々に、今なお宿る病理
根本 正一 プロフィール

そこで浮かび上がってくるのが、組織論理のなせる業である。近代の官僚制的ヒエラルキーのもとでは、職務自体が冷淡な人間関係のもとに事務的になっている点がまず挙げられる。そこでの組織人は仕事を完璧にやり遂げることに腐心し、その道徳的論議に踏み込むことはしない。

そうした組織においては、組織人は集団から疎外されることを最も嫌う。そもそも権威を有する上位からの命令に抵抗するのは、基本的に難しい。一歩前に出ることによって、集団から自分が切り離されるのは辛いことだ。「順応への圧力」が働く。その方がまた、「組織のなかで認められたい」という欲求も満たすことができる。

組織のなかで人間が自分を見失うとき、その構成員同士の化学反応によって組織全体がとんでもない方向へと突き進む。しかも、彼ら自身はそれに気づかないか、気づいていてもその事実を見ないように努める。現代日本もまた然りである。

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