深刻な「恵方巻き大量廃棄」から考える、日本が目指すべき社会像

食品ロス削減と貧困対策について
大西 連 プロフィール

「食品ロス削減法案」の成立なるか

この「食品ロス」の削減について、また、「フードバンク」などの活動の推進について、法律をつくって進めていこうという動きがある。

2018年12月13日に、超党派による「食品ロス削減及びフードバンク支援を推進する議員連盟」が発足し、自民党の山東昭子参院議員が会長、公明党の竹谷とし子参院議員が事務局長に就任した。

与野党107人(設立時)が入会した議連で、今国会での「食品ロスの削減に関する法律」の議員立法での成立を目指している。

法案骨子によれば、内閣府に「食品ロス削減推進会議」を設置し、政府は「基本方針」を策定、地方自治体は「推進計画」を作成、「フードバンク」などの活動を支援する、としているほか、普及啓発活動にも取り組む、としている。

 

個人的にも、「食品ロス削減法案」の成立を目指して、生活困窮者支援などの面からその必要性や取り組みの重要さを提起してきたので、超党派の議連ができ、今国会での成立を目指すまでにこぎつけたのは大きな前進である。

もちろん、法律ができれば終わりではない。むしろ、国や自治体の役割や責任を明確にし、そのうえでの民間の取り組みとのすみわけや連携があるものと考える。

また、「食品ロス」の削減において「フードバンク」などの活動は大きな役割を果たすが、「フードバンク」などの活動は必ずしも「食品ロス」の削減のためにおこなわれるわけではない。

むしろ、私たちの社会が「食」という問題、「フードセーフティネット」という問題をどう考えるかということ、そして、公的な役割の範囲と共助的な支え合いをどう分担するのかといった議論が不足している問題もある。

コンビニ弁当廃棄も近年問題化している〔PHOTO〕iStock

SDGs達成にも「食品ロス」削減は必要

そして、そもそも、有限な資源の活用として、「生産しすぎない」というような、「持続可能な生産と消費」という観点も重要である。

くしくも、2015年に国連総会で可決されたSDGs(持続可能な開発目標)においても、目標12に「責任ある生産と消費(Responsible Production and Consumption)」が掲げられている。

そのなかで、要約すると、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」との数値目標も明記されている。

SDGsについては、政府も総理を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置して、アクションプラン等を策定して取り組みを進めてはいるが、まだまだ日本社会への普及や政策へのインプットは不十分である。

僕も民間からの立場で「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」の構成員を担っているので、その責任の一端はあるのだが、そもそも作りすぎないことと、作られたものを無駄にしないことを、政府、民間企業、NPO等の市民活動(団体)、個人などが認識し、行動していくことが必要である。

「恵方巻き」を大量に廃棄する社会と、責任をもって生産し、消費する社会。

11%の子どものいる家庭で「食料を買えなかった経験」をしている社会と、必要なときに誰もが食料を得ることができる社会。

どちらがいいか。それを実現するために何が必要かを考えていかなければならない。

通常国会が開会したが、今国会で「食品ロス削減法案」は成立するのであろうか。それとも、先送りになるのであろうか。政治の動きも注視する必要がある。