深刻な「恵方巻き大量廃棄」から考える、日本が目指すべき社会像

食品ロス削減と貧困対策について
大西 連 プロフィール

「フードバンク」という活動

「フードバンク」という活動を聞いたことはないだろうか。

企業や個人などからまだ食べることができる食品を集め、食べ物に困っている施設や個人に届ける活動である。

日本でも100近くの団体が活動しているとも言われる。

高齢者施設や児童養護施設などの福祉施設や、生活に困っている個人に対して、食料を提供するだけではなく、生活困窮者支援や、地域での住民同士の交流、ネットワーク作り、子どもへの見守りや成長への支援をおこなうところもある。活動自体の内容やすそ野も多岐にわたると言っていいだろう。

食料に困ってしまった人を支える活動としての「フードセーフティネット」という考え方もあり、いまや生活困窮者支援としても、地域づくりの文脈のなかでも、無視できない存在である。

〔PHOTO〕iStock

僕自身が関わる活動においても、ホームレスの方への食料提供などもそれに該当するだろうし、実際に生活困窮者支援をおこなうなかでも「フードバンク」の活動を紹介したり、連携協力することは多い。

また、ここ数年注目されていて、いまや全国に1000ヵ所以上にも拡大していると言われる「子ども食堂」なども、地域に根差した「フードセーフティネット」としての機能を持っている。「フードバンク」の活動と連携して取り組んでいるところもある。

「子どもの貧困対策」だけではなく地域づくりやコミュニティ支援にも寄与していると言えるだろう。

 

大量に廃棄されている食品を、それを必要としている人のところに届ける。ある意味、「もったいない」を昇華させた活動ともいえるし、有限な資源をどう効率よく活用するのかという合理的な考え方でもある。

そして、政策としてもこういった動きを後押ししている。フードバンクへの食料提供に関しては損金算入などの仕組みが導入されている。

農水省HP:食品ロス削減にフードバンクを活用しませんか。 ~フードバンクへの食品提供は税制上も全額損金処理が可能です~
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/foodbank-10.pdf

このように、「食品ロス」を削減することと、「フードバンク」の活動は親和性が高い。というより、「フードバンク」の活動が「食品ロス」の削減に大きく貢献することは間違いない。

そして、「もったいない」がきっかけで、地域のなかで支えあいがうまれていくことは、生活困窮者支援のみならず、地域づくりの観点からも意味のあることである。