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深刻な「恵方巻き大量廃棄」から考える、日本が目指すべき社会像

食品ロス削減と貧困対策について

「恵方巻き」をめぐる2つの問題

2019年が始まってはや1ヵ月。気づけばもう節分だ。

その起源には諸説あり、これだけ流行っているのは最近のことらしいのだが、節分と言えば「恵方巻き」を食べるという習慣がある。

2019年の恵方は東北東とのこと。今年も、願い事がかなうように東北東を向いて黙々と太巻きを食べる人が多いかもしれない。

ただ、この「恵方巻き」をめぐっては、近年、別の意味での注目を集めている。

一つは、その売れ残りを小売店の従業員などが自腹で買い取りをさせられるなどの「労働問題」としての視点である。

もちろん、当然ながら、余った商品を従業員に強制的に買い取らせるといったことは違法な業務命令である。これは恵方巻きだけではなくクリスマスケーキなどその日限りの季節商品を販売する際に起きやすいと言われる。

もし、コンビニやスーパーなどの小売店で働いている人で、店長などから恵方巻きの自腹買取を強制されるようなことがあったら、迷わずに労働基準監督署や労働組合、ユニオンなどに相談をしてもらいたい。

二つ目は、売れ残った「恵方巻き」の大量廃棄の問題である。一般的に、まだ食べることができる食品を廃棄してしまうことを「食品ロス(フードロス)」と呼ぶが、この「恵方巻き」の大量廃棄は、「食品ロス」という観点から非常に大きな問題である。

今回は、この「食品ロス」について考えていきたい。

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「食品ロス」の現状

さて、この売れ残った「恵方巻き」の大量廃棄については、2019年1月11日付で農水省が小売店関係の業界団体向けに「恵方巻きのシーズンを控えた食品の廃棄を削減するための対応について」を発出している。

農水省が「恵方巻き」に合わせてこういった書面を出すこと自体が、この問題の深刻さを表していると言ってもいいだろう。実際に日本において「食品ロス」は無視できない規模になっている。

 

消費者庁がまとめた資料によれば、日本の食品ロス量は年間646万トン(平成27年度推計)にものぼる。

これは、毎日大型(10トン)トラック1,770台分を廃棄していることになり、一人あたりに換算すると、毎日「お茶碗一杯分の食品を廃棄している」ことである。

そして、この廃棄量は、国連世界食糧計画(WFP)による主にアジアやアフリカなどの飢餓に苦しむ地域への国際社会の食糧援助量(約320万トン)の2倍近くにも相当する。

要するに、まだ食べられる食品を大量に廃棄していて、非常に「もったいない」ことをしているのだ。

消費者庁:食品ロス削減関係参考資料(平成30年6月21日版)

また、上記資料によれば、「食品ロス」の約半分は家庭から出ている、とされている。食べ残しや食べられる部分を捨てることなど、わが身に照らして考えても、多くの人は心当たりがあるのではないだろうか。

企業から出る「食品ロス」としては、製造過程で発生する印刷ミスなどの規格外品や、売れ残りや規格変更などによる在庫、客の食べ残しや提供できなかった仕込み済みの食品など、多岐にわたる。

このように残念ながら廃棄されている食品が、もし有効に活用されたなら、必要な人にうまく届くような仕組みがあったなら……そう思うのはむしろ自然なことだろう。

「もったいない」をこえて、大変なことをしている、と言ってもいいのだ。