精液を医学的に調べたら「宝の山」だった

実は精しょう(液体)が重要
木原 洋美 プロフィール

精液検査で新事実が次々に出てきた

「BUDDY CHECK(バディチェック)」を発売する1年前の2017年秋、瀧本さんたちは「精液検査プロジェクト」を立ち上げ、クラウドファンディングを実施。目標金額400万円に対して、512万1千円の資金調達と248人の検体(精液)を集めることに成功した。

支援者の多くは、「これまで精液検査がなかったことのほうが不思議で、その可能性に大いに期待するという医師や研究者だった」(瀧本さん)という。

プロジェクト開始から1年あまりが経過し、精しょうパワーの謎はどこまで解き明かされたのだろうか。248人の検体を分析した結果を教えてもらった。

① 男性ホルモンを増やす下着ができるかもしれない
筋肉や性欲、闘争心などいわゆる“男らしさ”を左右するホルモンであるテストステロン(男性ホルモン)は、血液よりも精液中に5倍近い濃さで含まれている。

プロジェクトでは、このテストステロンの濃度が、お酒を飲む人のほうが飲まない人よりも高いことが判明。また下着は、ブリーフよりもボクサーパンツを着用している人のほうが高濃度であることが分かった。

「飲酒をする機会が人との出会いやストレス解消を促し、テストステロンを高めていると解釈するべきかもしれません。お酒が濃度を上げるということはまずないだろうと思っています。

下着については、精巣の温度の問題なのか、気分的な問題なのか、そのメカニズムはまだ明らかにされていません。ただ、将来研究が進めば、テストステロンを高める下着を解決できる可能性はありますね」(瀧本さん)

 

② 精子のバッテリーは50代以降に減少する
精液中のクレアチンは、精子に取り込まれて精子の運動に必要なエネルギーを与える、いわば「バッテリー」のような存在。

クレアチンによって、精子は持久力を得て、卵子への到達率を上げられることが報告されているため、クレアチンは受精に非常に重要な役割を果たす。

「今回の調査では、クレアチンは50代以降に減少することが分かりました。弊社では、クレアチンを増やす方法が確立できたら、不妊で悩む方の助けになるのではないかと考え、研究しています。

実際、クレアチンを精液に添加すると、精子の持久力・活動量が驚異的にアップすることが明らかになりました。たとえば通常、1個の精子だけでは受精はほぼ不可能なのですが、クレアチンを添加すると50%以上という驚異的な確率で受精に成功できることが報告されています。

また、クレアチンはサプリメントで摂取することができますが、精液に対する効果についてはまだほとんど報告がありません。今後、妊活のサポートとして、精液中のクレアチン量を増やす方法を調査していきたいと思っています」(瀧本さん)