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仮想通貨の新しい資金調達「STO」が「ICO」を超える日

いまアメリカで起きていること

「無法地帯」ICO

ビットコインは40万円前後でもみ合っており、積極的に売買する投資家は減少しつつある。2017年は右肩上がりの相場、2018年は右肩下がりの相場、今のところ2019年は静かな推移となっている。

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価格低迷などを背景に、国内だけではなく世界的に暗号資産(仮想通貨)への関心は低下している一方、国内では暗号資産に対する規制は徐々に強まっており、足元ではICO(イニシャル・コイン・オファリング)のルール作りの議論が活発化。ICOの規制が定まったからといって、暗号資産への関心が再度高まっていくかは別と考えるが、無法地帯だったICOで一定のルールが構築されるのは決してネガティブな話ではないだろう。

本稿では、足元進んでいるICOのルールを整理したほか、今後拡大が広がる可能性があるSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)に関してもふれたい。

 

2018年11月12日に金融庁で開催された「第9回仮想通貨交換業等に関する研究
会」では、従来の証券市場では不公正取引と見られるような取引や、ICOに絡ん
だ詐欺などが指摘され、現状の「資金決済法」の枠組みでは対応できない点を考
慮し、「金融商品取引法(金商法)」での規制が必要であると議論された。第9
回研究会の公開資料では、ICOについて下記のように分類している。

1 発行者が存在しない仮想通貨
2 発行者が存在する仮想通貨
3 発行者が存在し、将来的に事業収益等を分配する債務を負っているもの

大きく分けると1と2に関しては、従来通り「資金決済法」で対応する一方、3に
関しては、トークンを保有する者が投資先から分配を受けるなど、「配当を出す
投資」とみなされる事象は、有価証券同様とみなし、こちらは「金商法」の枠組
みとして捉え登録制の導入
を検討するとしている。

そして、11月26日のに開催された第10回研究会では、「杜撰な事業計画と詐欺的
な事案が多く、既存の規制では利用者保護が不十分」「他の利害関係者(株主、
他の債権者等)の権利との関係も含め、トークンの権利内容に曖昧な点が多い」
と指摘。「投資性を有するICOの特質と、それに伴い必要と考えられる規制の内
容を整理する必要がある」
と見ており、12月21日の第11回研究会では、「ICOへ
の対応」として、下記のようにまとめられた。

■投資性を有するICOへの対応
・仮想通貨による出資を募る行為が規制対象となることを明確化
・ICOトークンの流通性の高さや投資家のリスク等を踏まえて、以下のような仕組みを整備
 -50名以上に勧誘する場合、発行者に公衆縦覧型の発行
 -継続開示を義務付け
 -仲介業者を証券会社と同様の業規制の対象とし、発行者の事業
 -財務状況の審査を義務付け
 -有価証券と同様の不公正取引規制を適用(インサイダー取引規制は、今後の事例の蓄積等を踏まえて検討)
 -非上場株式と同様に一般投資家への勧誘を制限
■その他のICOへの対応
・ICOトークンを取り扱う仮想通貨交換業者に、事業の実現可能性等に関する情報提供を義務付け

諸外国でICOを一律で禁止する方針もあるなか、足元の日本はその有用性に配慮して、ICO の機能やリスクに応じた投資家保護の規制を施して存続は認めるというのが大きな方針となっている。