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# スタートアップ

日本には「ユニコーン」が少ない?そんなこと気にしてもムダな理由

スタートアップ至上主義には罠がある

政府も「育成」に躍起だが…

日本には、ユニコーン(時価総額が10億米ドル以上の未上場企業)が少ないと言われている。

以前は、日本にはユニコーンが2社存在していた。そのうちの1社であるメルカリは2018年6月に東証マザーズへ上場し、ユニコーンの定義である「未上場企業」ではなくなった。

このため、現在では、ディープラーニングをはじめとしたAI技術を中核とするプリファード・ネットワークス社(PFN)が、日本で唯一のユニコーンということになっている。同社は、トヨタやファナックなど国内の大手企業と提携し、直近の資金調達時点で、推定時価総額が2300億円前後に達していると言われる。

 

スタートアップに関するデータベースを提供する米CBinsights社の調査によると、世界のユニコーンの数は2018年3月時点で237社。このうち118社が米国企業、62社が中国企業であり、米中両国を合わせたユニコーンの数は世界合計の実に76%を占めている。

一方、欧州のユニコーンの数は少なく、イギリスで13社、ドイツで4社に留まっており、存在感は大きくない。日本など、中国を除くアジアも同様である。

 そんな中、日本政府は「ユニコーンの増加」を目指して動き出している。2018年6月には、「2023年までに、ユニコーンあるいはそれに類似する上場ベンチャー企業を20社以上創出する」ことを目標とする「未来投資戦略2018」が閣議決定された。また同月、経済産業省のベンチャー支援プログラム「J-Startup」もスタートした。

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しかし、筆者はいくつかの観点から、やおら盛り上がっているこの「ユニコーン狂想曲」とも呼べる現象に戸惑い、違和感を感じている。

もちろん、健全な経営をしつつ急成長を遂げるユニコーンの存在は、マクロ経済の活性剤として重要ではある。だが、現在のような「ユニコーン信仰」は、日本経済のあり方と今後の成長を考える上で、何か重要な視点を欠いているように感じるのだ。