クールジャパン機構の「おサムい裁判」の行方~苦しい言い分を連発…

そして国費が溶けていく

よくもここまで…

「税金の壮大な無駄遣い」と言われて久しいニッポンの官民ファンド。「問題児」は昨年暮れに空中分解した産業革新投資機構だけではなかった。安倍政権の肝いりで発足したクールジャパン機構も、そのメッキが剥がれ、本性があらわれている。

実は、とあるパートナーの民間事業者と泥沼の訴訟が繰り広げられているのだ。

クールジャパン機構を相手に民事訴訟を起こしたのは、長崎県の民間企業グループ「グリーンティーワールドホールディングス」。米国で「日本茶カフェ」を展開しようと、機構との共同出資で合弁会社を設立した相手である。そんな日本茶カフェ事業のパートナーが、機構に関係解消や損害賠償を求めて昨年9月、訴訟を起こしている。

まずは、クールジャパン機構が昨年末、東京地方裁判所に提出した一通の準備書面をご一読いただきたい。そこにはこんなくだりがつづられている。

<M氏は被告(=クールジャパン機構)が設立されることを聞きつけ、事業への投資を再三希望した。しかし、事業の計画は具体性に乏しく、実現可能性に疑義があり、(略)被告の担当者は投資要請に何度も難色を示し、2014年6月頃には明確に投資を断った。M氏は色よい反応を受けられず、一度は謝絶されたにもかかわらず被告からの投資に強く執着し、(略)結果として(M氏の)友人の尽力のおかげで事業計画は格段に向上し、2015年3月、支援決定を行った>

<1999年、M氏はロサンゼルスにて緑茶カフェを開店したが、経営不振により、遅くとも2007年までには閉店した(略)カフェ事業では失敗した経験しかなかった>

クールジャパン機構がそう非難するM氏とは、民間企業グループの代表者であり、共同で挑戦する米国での日本茶カフェ事業の中核を担った人物でもある。

いくら訴訟で争っているとはいえ、まがりなりにも4年前には仲良く手を組んだ相手であり、自ら国費を投じた事業。よくもここまで非難できるものだ、とあきれてしまう。準備書面に記した批判がそのままブーメランのように、自身に返ってくることには気づかないのだろうか――。

 

失敗続き

機構の主張に対し、民間企業グループ側は証拠を突きつけて反論しているが、その中身を紹介する前に、まずはクールジャパン機構という組織の成り立ちを見ておこう。

クールジャパン機構はその本名(=海外需要開拓支援機構)にあるとおり、日本の商品や文化を海外に売り込んで発信する「支援」を目的として2013年11月に設立された。

しかしながら、その評判はすこぶる悪い。

六本木ヒルズに瀟洒なオフィスを構え、昨年春までに29案件に計620億円を投じてきたのだが、ここ数年は毎年数十億円単位の赤字を垂れ流し、赤字額は5年間で累計100億円近くに及ぶ。

会計検査院からは昨年4月、見込まれる回収額や保有株の評価額を投資額が大幅に上回る状態にあり、実質的に44億円の含み損を抱えているとの指摘も受けた。安倍政権が官民ファンドの再編を迫られるなか、別ファンドに吸収させて取りつぶすのは既定路線と目される。

めだつのは、投資して得た株式を手放す「撤退」事例である。三越伊勢丹ホールディングスと組んでマレーシアにつくったショッピング施設や、シンガポールにつくった日本食のフードコートは軌道に乗せることができず、民間事業者だけで「柔軟かつ機動的に対応できるようにするため」に撤退すると発表された。バンダイナムコホールディングスと組んだ日本アニメの動画配信事業は、機構の撤退後に事業そのものが頓挫した。

国費を消失させてもなお詳しい説明はされないが、当初の見込みがただ甘かっただけでなく、「柔軟性」や「機動性」が劣っているために、崇高な目的を果たせなかったのは共通しているように映る。