photo by Getty Images

やっぱりグローバリズムの不利益を再認識すべきときが来た

米中衝突の根底にあるものとは

「グローバリズム」と「大航海時代」

「グローバリズム」とは聞こえの良い言葉である。日本語に訳せば「地球主義」。「全世界の人々が一体となって共に発展しよう」という言葉に異議を唱える人はほとんどいないだろう、

さらには「大航海時代」のように、この言葉に大海原を疾走して未知の世界へ広がるイメージを持つ人々も多いだろう。

しかし、「グローバリズム」という言葉には、一時期メディアで大量に流された、「世界は一家、人類みな兄弟」と同じようなスローガンのようなうさん臭さがあるのも事実である

「大航海時代」が、西洋を中心とした経済・社会の基盤をつくり、現代の先進的社会の礎となった1800年頃の産業革命へとつながったことは間違いない。

しかし「大航海時代」は、西洋がアジアやアフリカの人々を蹂躙・虐待・搾取する植民地時代の幕開けとなったことも否定できない。「大航海時代」には、その言葉の勇壮な響きとは裏腹に、植民地の人々を地獄に突き落とす発端となったというダーク・サイドもある。

スペイン人が黄金を独占したいという強欲にかられて、マヤの人々を蹂躙しその文明を崩壊させたのはあまりにも有名な話だが、欲にかられて植民地の人々を虐待し血の最後の一滴まで搾り取ったのは、英国やフランスなど西洋諸国にも共通する悪行である。

今世界に広がっているグローバリズムにおいて、かつての西洋諸国に代わって「悪行」を働いているのは、巨大多国籍企業とルール無用の「悪の帝国」である。

 

グローバリズムが賃金デフレを招く

いくら金融緩和を行ってもデフレが終わらず、人手不足のはずなのに賃金が上がらないのは、グローバリズムに起因する供給過剰が大きな原因である。

この供給過剰問題については、2018年8月13日の当サイト記事「異次元緩和でも日本にインフレが起こらない極めてシンプルな事情」で詳しく論じている。

特に製造業においては、機械を設置し「人手」を準備すれば、どのような貧しい国でも「コモディティー」と称される「普及品=ありふれた商品」を製造することができる。だから多国籍企業は、賃金の安い貧しい国にどんどん製造拠点を移し、先進国の高い教育を受けてはいるが賃金コストの高い労働者の賃金が上昇しない、あるいは下落するのである。

多国籍企業も、元々はどこかの国の国民の手によって誕生し、その国の国民によって育てられている。

しかし、グローバルに活動する大企業になると、その恩を忘れ、税金の安い国(タックス・ヘイブンなど)に本社を移す。そして発祥の国では「最低賃金法」に明らかに抵触してしまうような安い給料で働く貧しい国の低賃金労働者を探し求めて、世界中を遍歴するのである。

もちろん、グローバリズムは負の側面だけでは無い。低賃金労働を含むコスト削減が多国籍企業を潤したのは無論だが、商品の価格も引き下げ、Tシャツがごく普通に1枚500円で売られている。また、「100円ショップ」にありとあらゆるものがそろっているのもグローバリズムのおかげであり、国民は消費者として多大な恩恵を受けている。

しかし、個々の消費者には恩恵がある「デフレ」も、全体として見れば先進国の賃金上昇を抑え、経済を縮小させる負の側面の方が大きい。

さらに、そのデフレの結果、世界的に金融緩和政策が取られるようになったが、その(超)低金利政策が、(多国籍)大企業の借り入れ金利を劇的に下げ空前の利益を稼がせている。

逆に一般国民が、その超低金利政策によって「老後不安」をはじめとする被害を被っていることは、当サイト2018年12月21日の記事「金利をあげれば『デフレは終わる』といえるこれだけの理由」で詳しく述べているとおりである。

簡単に言えば、超金融緩和によって、一般国民の金融資産から大企業の懐へ所得移転がなされているのだ。