出生人口が前年比200万人減の衝撃…もう止まらない中国の少子化

一人っ子政策撤廃は完全な空振りだった
北村 豊 プロフィール

1人っ子政策より深刻な原因

中国では1980年代初頭から1組の夫婦が出産可能な子供の数を1人に限定する“独生子政策(1人っ子政策)”が厳格に実施されて来たが、紆余曲折を経て“双独両孩(夫婦が共に1人っ子の場合に2人目の子供の出産を容認)”、“単独両孩(夫婦の一方が1人っ子であれば2人目の子供の出産を容認)”といった段階的な緩和策が実施された後に、上述したように“全面二孩政策(全面的2人っ子政策)”が2016年1月1日から実施された。

全面二孩政策の初年度となった2016年の全国出生人口は2015年の1655万人から131万人増大して1786万人になったが、出生人口を大幅に増大させるという夢はわずか1年で消え去り、2017年には1723万人と前年比63万人の減少となり、翌年の2018年には1523万人と前年比200万人の減少となったのであった。

そればかりか、上述したように2018年の人口出生率(人口1000人当たりにおける出生数を指す)は10.94‰であったが、これは中華人民共和国が成立した1949年以来で最低の数字であった。

ちなみに、2017年の人口出生率は12.43‰であったし、今までの最低は2010年の11.90‰であった。

人口自然増加率は(人口出生率-人口死亡率)で算出されるが、2018年は〔人口出生率(10.94‰)-人口死亡率(7.13‰)=人口自然増加率(3.81‰)〕であり、2017年の人口自然増加率は5.32‰(12.43‰-7.11‰)であった。

端的に言えば、人口出生率が上昇しなければ、人口は増えないのが筋道だが、実態はどうなのか。

 

歴史的な折り返し点

著名な中国人口学者で米国ウィスコンシン州立大学客員教授である易富賢(いふけん)は、上述した寧吉喆の報告について下記のような見解を述べている。

(1)2018年の出生人口が1523万人というのはさばを読んで500万人多くしているし、死亡人口993万人というのも100万人少なくしているものと思われる。従い、実際の数字は恐らく出生人口が1030万人、死亡人口が1100万人で、差し引き約100万人の減少だと考えられ、国家統計局が言うような「2018年は人口が500万人増大した」という可能性はない。
(2)私は中国女性の初婚年齢や初産年齢の遅れ、中国における結婚率の低下や離婚率の上昇、養育コストの上昇など間接的な証拠を含む中国社会発展趨勢の詳細比較に基づいて検証し、中国の出生率が1.05前後であることを確認している。また、中国の寿命予測と国連の予測は一致していて概ね76歳前後であり、中国の現状の年齢構成に照らして考えると、死亡人口は1100万人以上になるはずである。
(3)2018年は中国の人口にとって歴史的な折り返し点であり、今後は人口数が絶えず減少し、人口構成も絶えず老化し、経済・社会の活力も絶えず弱まることになるだろう。

易富賢の見解が正しいかどうかは分からないが、彼は従来から中国の人口統計に“水分(水増し)”があると主張しており、自身の見解に確固たる自信を持っているものと思われる。

水増しは中国が発表する国内総生産(GDP)を含む各種の数字にも言えることであり、国家統計局の発表する数字であろうとも、それを鵜呑みにすることは避けるべきであろう。